9/6にアメリカ、「FRB」が発表する労働市場情勢指数「LMCI」が発表されました。この指数がどういう性格のものなのかは私も正直、近年になってできた指数なのでよくわかっていません。
ただ、みなさんに一番認識をしていただきたいのはインターネットの出現によって2000年以前と以降では雇用情勢は全く変わってしまっているということです。
端的にいえば、インターネットというのは今まで1万人でやっていた作業を極端な話1人で作業ができるという革命のことで、その結果、上記の作業労働者の9,999人は失業するという意味になります。
つまり、人の雇用を現代と2000年以前の労働環境を一緒にしてはいけないということになります。
今、企業は人を雇うことをコストと認識をしていますが、2000年以前は人を雇うことが社会貢献の一種と認識していたことが一番あります。
雇用が経費と認識していることと社会貢献と認識していることでは天と地ほど数字に与える影響が違います。私がこの「労働市場情勢指数」というものは19の構成数字があることはわかっていますが、はたしてこの数字が景気と雇用環境を言い当てているのかといえば甚だ疑問に思っています。
LMCIからみえるもの
上記は労働市場情勢指数の1975年からのものになります。このグラフの借用は「dshort」というアメリカの投資顧問会社からの拝借になります。
たしかに、グレーの部分が政府見解の景気減退期になりますが、そのときに雇用指数がかなり悪化しているのは見てとれます。近年ですと、「リーマンショック」時にかなりの雇用悪化が見てとられ、同様に2010年の南欧債務危機時にも雇用の悪化が見られます。
で今回は6月の指数が修正で1.3になり、7月はマイナス0.7と発表されたことからドルが急落して、引いてはドル円が急落をしています。
経済指標での労働関連指標
経済指標の中では、労働関連指標というのは遅行指数ということが一般的に言われています。
今回の8月の雇用指数の悪化というのは当然、イギリスの「EU離脱問題」を受けての結果だと思います。想起してほしいのは世界の為替市場や株式市場に甚大な影響を与えたギリシャを筆頭とした南欧債務危機でもアメリカの雇用市場情勢指数も悪化しているということです。
つまり今回の雇用市場情勢指数はイギリスの離脱の結果を受けた若干の雇用情勢の修正と考えればいいだけの話なのです。
あれだけ、マーケットが異常反応をした南欧債務危機でも僅かの悪化にとどまったので、今回のマイナスというのは市場が過剰に反応しすぎと考えるのが一般的になると思います。
根拠
上記のグラフは同じく「dshort」から拝借したものですが、労働参加率と、失業率のグラフになります。
生産人口の62.8パーセントが雇用市場に参加して、失業率が4.9パーセントということは完全雇用に近い状態で、なぜこの雇用市場情勢指数が悪化するのか、私には理解ができません。
この指数の悪化というのは雇用市場を確実には反映をしていないという風に考えることができると思います。おそらくイギリスの離脱を受けての一時雇用等の非正規の雇用が大きなマイナスポイントになったことから、この指数が悪化したと思います。
まとめ
南欧債務危機の際に、この指数が悪化したことからもわかるように、アメリカの労働市場は国際的な大事件が発生をした際には、かなり小さな影響を受けるのは確かなことのようです。
事件発生、6/24から2カ月経過をしたところからマイナスポイントになったことからもわかるように労働市場というのは事件が発生をしてから、遅行して悪化するものです。
つまり「イギリス離脱問題」はすでに過去のものであって、逆に目先はイギリス経済の好調をこれから反映をしていくことになります。たった、9/2にドル円が高値を示現して押し目3日で、転換ということは、現段階ではありえないと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)