きのうは欧州の金融不安が拡大をしている、という話をしました。現時点ではそのような危機は起こらないであろうと認識をしていますが、万が一に備えての解説をしていきたいと思います。
日柄観測
前回は5/20前後に危機がくるであろうとずっと言っておりましたが、そこからの「イギリスの離脱問題」が起こりマーケットが上下動をしたのは記憶に新しいことです。
しかし、私からみるとこの日柄が大きくずれたのは初めての経験であり、この日柄の観測をもう一度見直さなければいけない局面にきていると反省をしています。
しかし、まだ見直しの研究をしていませんので、現時点では3月の末くらいの危機がくると認識をしています。つまり、イギリスの離脱問題によって発生した世界的な危機によっての被害を勘案するとそれよりも一カ月遅れ、つまり来年のゴールデンウィーク前にあるかもしれないという認識があります。
そしてその前の小さな危機というのは通常ならば「10月10日前後になるであろう」と思います。そこからイギリス離脱問題が1カ月遅れで発生したということを勘案すると「11月10日も有力候補」になります。
しかし、今までの考察が正しいことになれば「今回の危機は9月10日」になります。前回が1カ月遅れできたので、9月10日になることも十分に考えられることになります。つまり今回のイタリーの金融危機はもう始まっていると考えることもできるのです。
原因から結果を探る
今回の震源はユーロ、その中でもイタリーなのです。つまり震源地の通貨は売られ、必然的に強い通貨が一層買われるということになります。
強い通貨といえばドルになりますから当然、円安ドル高は進行します。そして、ユーロ圏で一番取引の多い、対ポンドレートに対してユーロは売られるのですから、ポンドは買いになりますが、ドルとポンド、どちらが強いかといえばドルのほうが強いという面もあります。
したがって「ポンドドルは下落傾向」になると思います。また、ユーロ経済が弱い状態が続き、その関係性の大きい国は中国になります。ユーロが売られたら、人民元は自動的に高くなり、円は安くなるという構図も念頭に置かなければなりません。
ですから、みなさんは即物的にリスク回避の円高と反応するかもしれませんがこういう風にロジカルに考えていくと今回は円安に行く可能性が高いと判断するのです。
一方でポンドは強くなるのですから、人民元安になるのですから、円高という構図も成り立ちます。
こういうようにらせん状に通貨の強弱を考えていくと迷路にはまりますので、ドルを中心に考えればいいだけの話で、ユーロのイタリア銀行危機によってドルが買われるという風に考え、ドル円やユーロドルがドル高になれば、その検証通りにポジションを張れば良く、間違っていた場合はどこが間違いなのかを考えればいいだけの話です。
通貨というものは、基本的にはドルの方向性がわかれば、すべての通貨の方向性はわかるものです。
過去の経験則
過去、日本でもっとも報道されたのはギリシャになると思います。ギリシャの危機の場合は例年ゴールデンウィーク前後に発生をしてクリスマス前後に決着するというのが基本の考え方だと思います。
だいたい10月前後に危機のピークを迎え、そして年末になって投資家が飽きたころに、メルケルとジョイブレが目を真っ赤にしながら記者会見をするというのが毎年の恒例行事です。
今回のイタリアの件も同じように、なる可能性は大きいとおもいますが、現時点ではテクニカル的にはそれほど不安はないと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)