この夏から、年後半には「110-115円程度の円安になる」可能性があると散々書いてきましたが、やはり、正念場の補正予算成立後に反転して売られたということに非常に不信感を抱きます。
そして6月から月足の下ヒゲが4本も出ているのにも関わらず「戻りがあまりにも鈍い」ということです。
日本の経済指標への不信感
日本政府、内閣府は去年の年末に来年の経済成長を1.7パーセントを目標にしているとアナウンスをしましたが、7月辺りにその目標を1.2パーセントに低下をさせました。
この数字は、ドル円相場の決定が「GDP」に基づき決定を知っていると私から言わせると、円高要因になりますが、同時にアメリカも経済成長を年初よりも鈍化させていますので、今のドル円相場があまり動かないことには得心をします。
しかし、年初から去年は「アベノミクス」バブルのピークであって、企業物価が前年比でマイナス3パーセント以上下落し、また、「消費者物価指数」も前年比マイナスの状態でどうして国の成長がプラスになるのかがよくわかりません。
企業物価が3パーセント下がれば日経平均が3パーセント下がるのが当然なのに、逆に上がるという摩訶不思議な株価であってインチキ以外何ものでもない、と思うのはまともに経済を知っている人間ならだれでもそう思うでしょう。
「消費者物価」も今月は多少改善をするのか、と以前に書きましたが、なぜなら企業物価が多少改善をしましたので、さらに悪化という状態です。
つまり、消費は冷え込んだままであって、なんで国の成長が行われるのか、と思います。消費や物価というのはイコール国の「GDP」に直結している訳であって、これがマイナスということは国全体の成長がプラスになるわけがないわけです。
日本の「GDP」の6割は個人消費であって、残りは政府予算と企業の売上になっているのです。
個人消費はマイナスで企業の売上は10パーセントくらい、この2つがマイナスで日本の成長がプラスというのがそもそもおかしいのです。
政府予算は周知の通り拡大をしていますが、いつまで続くやら、というわけです。何しろ、日本銀行が「マイナス金利」を導入して国の予算は借金をすればするほど儲かるという、とんでもないモラルハザードが進んでいるのに、わが安倍首相さま、将軍様といっても過言ではないでしょうが、自民党総裁の任期延長やら、数では絶対に勝てない民進党にブチ切れしまくっているのです。
いくらおつむが弱いといっても国の成長が600兆円になる見通しがないのは、言っている本人が一番自覚しているのに、ウソを言っているという認識もないのであろうか、と思います。
というわけで日本の経済統計は無茶苦茶なわけで、その「経済指標」の見直しが検討されるのは当然の話なのです。わかりにくいじゃなくて、どこかにウソの数字があるのです。こんな整合性のない統計などほかの先進国にはありません。
今回の方針転換の可能性をほのめかしたのは?
テクニカル的には、日足ベースでは「移動平均120」を抜いてきたのですが、日足ベースではこのまま、以前もお話したように190までは行くと思います。その高値の範囲というのは190-230で終了すると思います。
しかし、週足をみてください。ご覧のように週足は「アベノミクス」がスタートしてから30の線上を押し目として上昇し、一転下落に転じた場合、30を上かさにたたかれるのです。
今回も30を目指して上昇をしていますが、先ず、30の線が未だ下を向いたままということ。つまりこの30の線上でもみ合い、レンジ相場になって日柄を稼いで横向きにする可能性はありますがなかなかそれは難しいと思います。
なぜなら週足で10本くらいこの線上でもみ合いを続けれなければ線が横に向きません。週足で10本というとそれは二カ月半に相当するのですが、それだと今年が終了してしまいますよね。
よって、今年の円安論は少し遠くなったわけです。参考までに週足の30は日足の150に相当しますよね。よく考えれば誰でもわかる話ですのでよくお考えになってみてください。
つまり、日足150と週足30は同じ線ということです。そのほかの条件もいろいろありますが、年内の残りの日柄を勘案すると円安の可能性が少なくなってきているな、とは思います。
でも105円程度で戻りいっぱいになると、円高も多くは望めないな、とは思います。なぜなら円高になるのには、買い方の分投げ、総投げが必要になるわけで、それほど多く買いついてはいないな、と思うからです。ですから行っても新値近辺かな、と思うのです。
この円高、円安を決定づけるのはユーロ次第でしょう。たぶん、ユーロ、欧州も煮詰まっている状況は変わりがありません。
(この記事を書いた人:角野 實)