ここのサイトに書いたと思いますが、かつてユーロ円の安値、高値の出し方について書いた記憶があるように思います。今回は、移動平均のかい離についてお話をしていきたいと思います。
ユーロ円の特徴
上記はユーロ円の月間足になりますが、提供できるチャートがこれだけしかなかったのでご容赦を頂きたいと思います。実は、ユーロ円月足は単純移動平均200カ月線のかい離に見事に符合をしている動きになります。
みなさんもご記憶にはあると思いますが「リーマンショック」前のユーロ円の高値、というよりも史上最高値は169円になります。そのときの200カ月線の値はだいたい133円くらいになります。その差、36円になります。
逆に、「リーマンショック」、ギリシャ等の南欧債務危機が収束をした時の安値が、2012年7月の94円になります。このときの200カ月の移動平均線は、129円になります。その差は約36円になります。
つまりユーロ円は、月足ベースで200の単純移動平均のかい離の値で動いているというのがよくわかりますね。ここで触れておきたいのはかい離率と既存のチャートで銘打って提供をしているチャートは何の役にも立たないことなのです。
ヒントは率ということは表記はパーセント表示なのです。169円を出したときのかい離率は27パーセントになりますが、94円のかい離率を計算すると、マイナス27パーセント。
一見、パーセント表示にするとその整合性があるように感じますが200カ月の値はそれぞれ、133円と129円でほとんど差がないからその整合性があるように感じるだけの話です。
この辺を解説するのには、ちょっと時間を要しますので割愛をしますが、この平均線の値が全然違った場合はパーセント表示には何の役に立たない測定値になります。
つまり相対値を使ったテクニカル分析など何の役に立たないということです。少なくてもテクニカル分析は実測値、もしくは絶対値で行わなければいけないのです。
では、なぜ、相対値で表現するかといえば、みなさんにわかりやすくするためのです。かい離が36円、というよりもかい離率、27パーセントと言ったほうがピンとくるでしょう。
なぜ、相対値表現はダメなのか?
たとえばドル円相場は10パーセント下落したといっても、仮にドル円のレートが100円とするとしましょう。一方で、伝統的なニュースソースは、こういいます。
「○時現在の外国為替市場のドル円相場は、昨日よりも10円下落して1ドル110円になりました。」
このような表現をします。この上記の表現を、外出先でPC環境がないときに聴いたらどちらのほうがピンときますでしょうか?
まず、10パーセント下落したという表現を聞いたときに一番、考えなければいけないのはきのうの終値、ないしは現在値がわからないから、いくらからいくらになったのかさっぱりわかりません。
もし、自分がマーケットにポジションを維持している場合、それによって、値洗いがいくら変化をしたのかは瞬時になんか計算ができません。
ところが下の表現ですと、値洗いがいくら変化をしたかすぐに計算ができます。つまり、こういったパーセンテージ表現というのは、どういうことが起こっているのかを理解を妨げる表現なのです。
これが、ダウ理論や、行動経済学で一番、言いたいことになるのですが、巷では、二若知識を振りかざし、ダウ理論の高値、安値とか下らないことばかりを語る人間が多すぎます。
そんなことを言っている人間はたいていの場合、私の経験では大損している人間ですので付き合いを避けたほうが賢明だと思います。
ダウ理論というのはテクニカル論よりも心理学的効果の側面の研究成果であり、決してテクニカルに応用できるものと発表されたものではない、ということを肝に銘じるべきでしょう。それを都合よく解釈している方々は、マーケットも都合よく解釈する傾向があるので儲からないと推測しています。
ユーロ円の予想値
このかい離からいえば、前回の高値のかい離は21円になりますので、今月ですと、106円程度になるのであろうというのが妥当な予想になると思います。
(この記事を書いた人:角野 實)