金融市場では「もしトラリスク」などと揶揄していたのがつい、先日。代わり身の早い金融市場は、ドルを売りこんだ後、異常なほどなドル高を呼び込みました。今回はその現象を経済学的に考えていきましょう。
以前として長期的には円高傾向
今回のトランプ次期大統領誕生に際して、次期政権に期待されていることは先ず、景気対策予算が組み込まれることになります。
この景気関連予算に関しては、クリントンさんが当選をしたとしても施行されたと思いますので織り込み済みと考えるのが妥当になりますが、さらにトランプ次期大統領の政策にはほぼ当確になるであろうという政策があります。
1.景気関連の予算増額
2.法人税減税
3.グレートアメリカの再構築
景気関連予算の増額に関しては、オバマ大統領誕生時もよく叫ばれましたが、これは日本と同じ状況で好況時に建設された公共施設がメンテナンスや建て替えの時期にきていることです。
一例では、オバマ政権誕生前と後には大規模な水害が起こり穀物輸送船の運河の改修や橋梁の掛け替えなどに莫大な予算が必要ということがよく議論されました。
ただ、オバマ政権誕生時はリーマン等を経てアメリカ債務危機直後になりますので予算が不足をしていたことからそれらが、施行されるか否かが大きな問題となったのです。
しかし、オバマ政権8年かけてその財政赤字を急速に減らし経済的にはアメリカは復活をしたのです。しかし、近年のイギリスEU離脱問題等を経て景気に減速懸念が出ていますので予算の増額が単純に考えられるし、それがトランプの公約でもありましたのでそれは間違いなく履行されると思います。
そして現行の法人税が38パーセントから15パーセントに減額するように主張もしています。これはビジネスマントランプとしては、当然の判断で、たとえばアマゾンなどはアメリカでは法人税を納税しておらずアイルランドで納税をしているくらいです。
アメリカの歳入を増やすのにはその法人税を減額するしかありません。また、グレートアメリカの復権はレーガン政権と同じで、レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と非難しアメリカはその対抗を行うことに腐心しました。
これら上記3つの政策はほぼ行われるだとうという見方が一般的になりますが、この3つの政策を行うのには、財源が必要です。
オバマ政権8年で必死に財政赤字を減らしたのにトランプの4年か8年の間にまた財政赤字が激増するのは明白な事実になるでしょう。つまり、今はトランプ期待、つまり財政拡大から、長期の金利が短期間に上昇し、そこから「インフレ」懸念が台頭しているのにすぎません。
一言、申し添えればこの状態であれば「FRB」は12月に金利を引き上げざるを得ません。ただ、経済学の常識でいえば、「インフレ」というのは結果的には通貨安を招くという不文律が存在しますし、また、アメリカの財政赤字とドルの強さは過去のデータをみても一致しています。
つまり、今の円安というのは一時的なものになる可能性が非常に高いということになります。
新政権誕生のハネムーン期間、100日
アメリカに新大統領が誕生した場合、議会やマスコミはその大統領の手腕をみるためにその批判をしないというハネムーン期間、100日があります。ただ、考えてみてください。
ドル円レートに限っていえば、トランプ勝利直後、101円までたたき売られたドル円相場が現在は111円をうかがうような展開です。最安値から10パーセントも上昇したら、はっきりいえばアメリカの介入レベルまで上昇をしていることになります。
もちろん先月の終値から10パーセント以上通貨高を示現をした場合にはその国家や主体経済団体には介入ができるルールが存在をしているのです。
投機筋はおそらく、最安値から10パーセントドルが上昇したところで逆向きの手を振ると思いますし、短期間の変動にも当てはまります。
たしかにハネムーン期間というのは来年の1/20以降に新政権が誕生して5月くらいまで続くと思いますが、今はまだ誕生をしていないということを絶対に忘れてはいけません。
そしてトランプ大統領というのは過去の共和党出身の大統領はアメリカの財政赤字を増やす傾向にあり、財政赤字はドル安を誘発することを忘れてはなりません。
(この記事を書いた人:角野 實)