何度か破綻の懸念が示されてきた「ドイツ銀行」ですが、最近はあまり話題になっていないように感じます。ひとまずドイツ銀行問題は下火になっていますが、ドイツ銀行はもう大丈夫なのでしょうか。
ドイツ銀行の株価をチェック!
ドイツ銀行の経営危機が叫ばれるタイミングでは、株価が大幅に下落しました。そこで、ドイツ銀行の株価をチェックし、市場がドイツ銀行への信頼を回復させているかを見てみましょう。
ドイツ銀行の株価は9月~10月にかけて12ドルを割り込みました。その後やや持ち直した株価は、11月上旬の米大統領選の影響も受けて、16ドル前後にまで回復しています。
年初には20ドル以上の株価でしたから、まだまだ市場がドイツ銀行を再び信頼し始めたとは言い難い状況です。とはいえ、株価がずるずる下がるのではなく、金融株の1つとしてトランプ・ラリーに乗って上昇している点は評価できます。最悪の状態は脱したと言えるでしょう。
ドイツ銀行はもう破たんしないの?
株価にはやや持ち直しが見られるドイツ銀行ですが、もう破たんしないのでしょうか。この点については不確かなところもあります。しかし、人員削減をはじめとする合理化策をとっていることや、世界経済の不透明感が徐々に和らいできていることを踏まえると、破たんリスクは低下していると言えます。
今後もドイツ銀行の経営は盤石とは言えません。しかし、経営破たんするとすれば、外部環境の悪化が引き金を引くと考えられます。ドイツ銀行の経営危機がささやかれ始めたころは、中国経済の急減速や資源価格の急落などにより、新興国経済が大幅に落ち込むことが問題視されていました。
資源価格が持ち直しているほか、中国経済も踏みとどまっていることから、新興国初の世界同時不況が起こる可能性は低下しています。
こうした外部環境が安定してきていることにより、ドイツ銀行の経営状態は悪化こそすれ、破たんに至る可能性は小さくなってきたと言えるでしょう。
リスク後退の背景とは?
なぜドイツ銀行の破たんリスクは後退したのでしょうか。すでに外部環境の回復は取り上げましたので、ドイツ銀行内部の事情について考えてみたいと思います。
まず、ドイツ銀行では合理化策を行い、赤字の縮小、および黒字化を図りました。この取り組みが今のところ功を奏しており、赤字が累積して破たんに至る、というシナリオは消えつつあります。
さらに、ドイツ銀行は破たんリスクを指摘されはしたものの、決定的な弱点を突かれたわけではありません。市場からの注目が集まったにもかかわらず決定的な事象が発見されなかったことから、財務耐性はある程度あることが確認できたと言えるでしょう。
このように、ドイツ銀行のリスクは後退しています。ただ、まだまだ株価水準は低いままです。大幅な黒字が出せているわけでもありません。そのため、ドイツ銀行への投資は当面避けておきたいところです。株式や債券でドイツ銀行には手を出さないようにしておきましょう。
金融機関のリスクは見えづらい
ドイツ銀行に限らず、金融機関が抱えるリスクは見えづらいことが多いです。日本でも、山一證券や長銀の破たんがありましたよね。金融商品は年々複雑化しています。
「リーマン・ショック」の際にもデリバティブが問題となりました。金融機関は安定性が高いとのイメージを持ちがちです。しかし、実は美恵寧リスクが潜んでいる危険性があるのです。
株式投資で言えば、金融株は高配当となっているケースが多いです。そのため、配当狙いの安全な投資として金融株を好む人もいるでしょう。確かに一理ある考え方ですが、見えないリスクがある可能性を念頭に置いておく必要がありそうです。
金融株に投資していない人も、金融機関の経営危機は経済全体に悪影響を及ぼしますから、まさかの事態が起こりうるという意識を持っておく必要はありますよ。