トランプ大統領誕生によって、彼の実質の施政方針演説からわかったことは非常に明快で、「レーガノミクス時代の日本を模倣する」ということがメインになります。
つまり通貨安を示現してそれによって輸出競争力をつけることによって、アメリカをグレートにするということになります。
去年の次期政権大統領トランプ氏に安倍首相が訪問した理由
マスコミの報道をみると、安全保障関連で安倍首相が訪問をしたということでしたが、もちろん、安全保障関連も大事なことですが、やはり「アベノミクス」の成否は円安にかかっていることは明白です。
安全保障関連に関しては為替には関係ないことですので時間があれば詳細を書くことになると思いますが、このトランプ大統領の目指すところと、「アベノミクス」は正反対の政策になることが重要なことです。
つまり、アメリカも通貨安を望み、日本も望むということになります。この結果は、最終的にはユーロの一人負けの状況を生み出すのです。もちろん、両国政府の言い分をマーケットが呑んだ場合です。
現実的には日本の円は超割安状態ですので、アメリカがドル安政策を行った場合、円高になると考えるのが現実的になります。そのほか、ユーロやポンドに対してドル安状態はほとんど改善しており、特にポンドに対してはポンドのほうが若干、平均値よりも割安な状態です。
ポンドは何度もいうようにEU離脱問題前までは異常高状態でしたのでそれが単に修正されただけの話です。そのほか、新興国通貨に対してもドルは割高な状況が続いていますので、トランプ大統領の通貨安政策はほぼ思惑通りに運びます。
安倍首相は、トランプ氏が大統領就任前にこの政策が日本の「アベノミクス」を脅かす存在であることを認識して真っ先にトランプ氏に面談を求めたのです。もちろん、トランプ氏も目指す国家像が1980年代の日本になりますので、面談に応じたというのがその理由になります。
だから、昨年末に安倍首相は内閣府に指示をして「GDP」総額を30兆円も上乗せをして日本とアメリカの格差を失くし、円安方向にもっていこうとしたのです。
この数字は物価が下落をしているのに、経済成長が上がるという摩訶不思議、つまり間違っている統計をさらに間違った方向にもっていったのに他なりません。
バカらしくてお相手もしたくないようなことなのですが、日本人の一般の人も、経済評論家もアナリストもこの事実に気づいていません。インチキがまかり通る日本の統計というのが、さらに明白になってきました。トランプ政権誕生で間違いなくはっきりすることは、「アベノミクス」の大失敗になります。
物価など永遠に上がりません。なぜなら、トランプ政権は物価上昇の肝である円安と原油高をつぶしにかかるのですから。
原油高に関しては「OPEC」の増産など何の意味もありません。原油の需給が引き締まっているなんて大ウソでユルユルの状態でシェールを増産したらさらなる下落になります。ドル安で値段は維持するでしょうが、それ以上に原油価格が下がると思います。
GDPを30兆円増やしても基準値は・・・
昨年、「GDP」を30兆円増やしても、その前の基準値が70円くらい、そして増やしたところで75円になります。現在の為替が115円とすればそれでも基準値よりも5割高になります。
通常、マーケットで買われすぎの状態というのは、基準値よりも3割高がめいっぱいなのですが、現在、5割も高いのはまさしくバブル状態になります。
また、トランプ大統領の政策に「GDP」成長率を2パーセントから4パーセントにするという方針もありますが、それを加味しても80円弱が基準値になるでしょう。
そこから3割高ですから、実際の値段というのは、97.5-104が適当な値段となるでしょう。いかに日本の政策が間違っているかだんだんバカらしくなっていると思ってきます。
1972年からずっと円は割安状態で、変動為替相場移行に一度も円は割高になったことはありません。それでも円安にすると叫び続ける、首相や日銀総裁は頭がおかしい、というのが本音です。将来、円高でそのツケは私たちは払わなくてはいけないことは明白なことです。
(この記事を書いた人:角野 實)