みなさんの中には週末にはポジションを閉じて、スクエアにしてから週末を迎えるという方も多いことでしょう。今回は、そういった投資家心理、行動から現在のドル円相場を考えていきましょう。
内部要因のおさらい
今回の話は、内部要因の話になります。何度も何度も書いているのですが、今の投資家にとって内部要因というのは理解がしがたいと思います。なぜなら、個人情報保護法やアメリカのやり方に倣って、取引所から売買情報が公開されることが制限を、現在ではされているからです。
古い投資家にとっては、売買の種類は売り、と、買いの二種類ではなく「新規買い」、「買戻し」、「新規売り」、「転売」の四種類からなっているということは常識だと思います。
たとえば、新規買いと買戻しは、同じ買いであってもその内容は天と地ほどの差があり、新規買いはこれから市場に参加する玉であり、買戻しは市場から去っていく玉になるからです。
新規に買った玉は、必ず、いつの日にか、は市場から去っていくのです。つまり、将来の売り圧力になり、新規買いが膨らんでマーケットの上昇圧力になると喜ぶ方も多いのですが、でも、最終的には売り圧力になるのです。
この新規買いの手仕舞いをするところというのは利食いの場合は読み切れないことも多いのですが、損切りの場合はある程度の法則があるものです。
たとえば、新規の買いが極端に集中した場所から1パーセントや10パーセントの値段の節目にロスカットを設定している投資家は非常に多く、そのぞろ目や、○パーセントというところでは損切りが大量に発生をするのです。
そこで他人の損切りは利益の場所と、逆張りを仕掛けるのは必定ですし、その新規買いのロスカット狙いで損切りする場所がわかれば、新規売りから買い方が損切りする場所で利食いということもできるのです。
つまり、内部要因にされるマーケットの要因は多々あり、内部要因を理解するとなお、一層の相場の理解も深まるということにもなります。
参考までに、世界の投機家と言われる人たちはこのように、自分が売りたいと思うときに、必ず、相手方の買い方が誰が買っているかを調査して、その動向を徹底的に調査をするのです。
その、代表格は「ジョージソロス」になるでしょう。ソロスは必ず、自分が売りたいと思うときには、相手方の買い方を徹底的に調査をします。そして買い方が損切りするときに自分も売りポジションの手仕舞いをするのです。
世界の投機家というのはこういう調査をして必ず、仕手線に挑みます。例外は「ウォーレン・バッフェット」で、彼は、市場の割安、割高を自分なりの方法で調査をして、割安なら買う、という方法を開発したので、ソロスよりは社会的な名声を得るのです。
どう考えてもソロスは他人の不幸を喜ぶ、投資家ということになりますから。マーケットを始めて、目指すのはソロスやバッフェットという方も多いでしょうが、彼らにとっては内部要因の分析というのは「常識の範疇」になるのです。
週末のドル円マーケット
週末のドル円相場は、週央から値段が上昇していましたので、恐らく買い方の利食いによって下がるであろうと予想するのが常識になります。
しかし、結果として週末のドル円相場は上昇をしてしまいました。この現象を冷静に分析をする必要があります。なんといっても、先週のビックイベントはフランス大統領選挙でした。
この結果を受けて、ドル円相場は円安方向にいき、上昇をしたのです。この上昇を、みなさんは新規買いと読むか、ないしは買戻しによる買いなのかでこの上昇が長続きするか、否かの判断を迫られるのです。
新規買いなら、市場参加者が非常に多くなり、将来、この玉の全てが利食いするので下降圧力にはいつかはなりますが、問題は、この買い玉に利が乗っているということです。内部要因分析では、利が乗っている玉は分析対象に入りません。あくまでも引かされ玉が分析対象なのです。
ですから、新規買いであれば、利が乗っているので、この上昇についていくほかありません。でも、これが買戻しによる上昇圧力なのであるならば、週末もポジションをスクエアに戻したい投資家によって、さらに上昇をするだろうと予想をしなければいけません。
先ほどの説明からも、多くの損切りが発生するポイントが絶好のポジション構築の場所であり、週末に上昇をしたのであれば、これは買戻しと判断ができるのです。
実際に、引けにかけてさらに上昇をしましたので、「買戻し」と結論づけていいと思います。そして、週明け、月曜日の値動きに注目をするのです。売り方があらかた手仕舞いの損切りを出したところで、マーケットはいったん下がるはずだ、と予想したら、月曜日は安寄りからのスタートです。
つまり、フランス大統領選挙を受けて、円安方向に行ったのはそもそも、買戻しによって、上昇したのであったのですから、長くは続かないというのが月曜日の段階で予想できるわけです。
ただ、この月曜日に押し目を作って、また上伸してくるような相場であれば、新規の買いが入っていることになりますので、上昇は長く続く可能性はあります。
今後の展開
今後は、マーケットが市場参加者をより多く集めることができるか否かになりますが、現状、5月では投資家はいかに逃げるかを考えている段階で、多くの取組は望めないというのが現段階での私の予想になります。つまり、年初から始まる円高傾向の中の今回の円安は単なる戻りだと考えています。
(この記事を書いた人:角野 實)