今まで再三に亘って、お話しましたが、日本経済は少子高齢化による人口減によって経済が停滞、もしくは低成長になるということを言っていると思います。
一方でアメリカは、最近、発表された人口動態ではさらにアメリカの人口構成比が若年層に移動することがわかってきています。その結果、日本の生産活動は停滞し、そしてアメリカの生産活動は飛躍的に上昇をするでしょう。
そして、みなさんの一番の関心事であるドル円相場は、こうなると、円安になると勘違いする人が非常に多いのですが、日本<アメリカだと円高になるのです。
円安論者は日本の経済活動が、アメリカのそれより拡大したときも円安になると叫び、言っていることが矛盾をしているのではないのかな、と感じないものなのだろうか?といつも思いますが、そういう人は何もわかっていませんので、その方の主張は一切、聴かないほうがいいと思います。
今回は日本が低成長という論理の状況が一時的に変わっていますので、そのお話をしてまいりましょう。
アメリカGDP速報値
注目のアメリカ「GDP速報値」が、0.7パーセントとやはり低い水準で発表されました。日本の1-3月期に「GDP速報値」は今月の半ばくらいの発表になると思いますので、まだ詳細はわかりませんがアメリカより高いということにはなるでしょう。
となると数式は日本>アメリカになり、結果として円安になるのです。これが現在の相場状況であって、ですからマーケットが戻ることに問題はありません。経済の原理原則通りの動きです。
前回の内部要因の問題
この円安相場を私は、前回の記事で「内部要因の問題」と言いました。
具体的にいえば、フランス大統領選挙の結果で過度のリスク回避ポジションを取っていた投資家が一斉に「ショートカバー」をしたので、円高ポジションからの買い戻しになるので、結果的に円安になっているだけだという話をしました。
実際に、先週の動きは円安になるときはすごく早いスピードで円安になり、円高になるときはゆっくりと円高になっていました。この動きというのは典型的な売りの買い戻しによる踏み戻し相場であり、新規買い相場ではありません。
ただ、今週に入って、円安になるときはゆっくりと、そして円高になるときは早くなっていますので新規の買いが多少、入っているのでしょう。つまり、新規買いによって、円安になることも観察されています。
今後の見通しは
重要なことは、先ず、日本の経済は中国の景気動向にも左右されていることになります。中国の「GDP」1-3月期は6.9パーセントと想像以上にいいのです。つまり、中国>日本になり、この状況というのは円高になることになります。
アメリカも1-3月期は悪かったのですが、今期、どうなるか?ということを考えると今の発表される数字をみると間違いなく7月末の数字、4-6月期の数字が発表される日になりますが、そのときには間違いなく、個人的にはアメリカ>日本になっていることであろうと思います。
つまり、7月以降は円高になることが鮮明になっているのです。その上に、「FRB」が6月に利上げをすればさらに、円高が加速することでしょう。
今までとの違い
景気が悪いときはマーケットの商いも少なくなり、フライングをする人も少ないものです。フライングとは経済指標が発表される前にポジションを取ってしまう投資家が増えるのです。
景気の悪いときというのは、投資家は「経済指標」が発表されたあとにポジションを取る投資家が多い状況になります。この差は、ボラタリティーによって如実に表わされます。
つまり、今後は世界の景気が良くなってくることが見通しできますので、ボラタリティーが上昇するだろうということがかんたんにわかってきます。なぜなら、「経済指標」発表前にフライングするのですから、その見通しが外れた場合はその巻き戻し、アンワイドによって大きく相場は動きますよね。
そして、フライングが多くなるということは、現在のアメリカの「経済指標」をみると、おそらく日本<アメリカになることは必至ですので円高に7月を待たずになる可能性は高いと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)