イギリスの総選挙の結果をみて思ったことは、やはりイギリスの世論調査は全くあてにならないということでしょう。総選挙を決定した「メイ首相」は民間、政府の統計調査を元に判断をしたのでしょうが、その数字が間違っていたということになるのでしょう。
そういう意味ではある意味、アメリカも先の大統領選挙の結果を見ても明らかでしょう。
しかし、各国の中銀は、一方で「インフレ」、ないしは「デフレ」に対しては強い懸念を示す傾向があり、それで楽観というとおかしいと感じるのではないか、と思います。たとえば、アメリカであれば、「政策金利」は上昇させていますが、市場金利の特に長期は、利上げをするたびに、下がっています。
物価の上昇も期待したほどではない、という状況になっています。日本では企業物価は2015年をピークに下落をしており、最近は、円高局面からの立ち直りによって強含んでいますが、やはり下落傾向に歯止めがかかるか否か?というような状況です。
よく、考えてほしいのは、為替の基準値を求める「GDP」というものは、世の中に値段がつく、あなた自身のお給料を含む、金額の総和であって、この金額があがらないのに、なぜ、株価に強気ができるのでしょうか?
金利も同様で、金利というものは物価に乗じるものであって、日本のように「マイナス金利」にしてしまったら出る答えはゼロなのです。つまり、日本は世界に対して成長を諦めたということでもあるのです。
つまり、アメリカもヨーロッパも日本も、成長は皆無に等しいはずなのに株価が上昇するというのはアホではないか、と思うのです。その中でも「ゼロ金利」ではない、アメリカがましという話だけなのです。
株価については、米国市場は「ナスダック」を中心に下落しています。これが、S&P、ダウに波及するのかが焦点です。ドイツ株だけが好調です。日経は全然、どちらにいくのかわかりませんが、物価が上がらない以上、株価の高騰もあり得ないのに、なぜ、上がると言えるのか、と思います。
ほか、イギリス、ブラジル、オーストラリアに関しては、頭、売ったのではないか、と思うくらい弱いのです。ですから、マクロ的にみると好景気の中の景気後退局面と捉えるのが普通だと思います。
2017年と同じことが、2013年にもあった
この2013年も同じことであって、何が起こったかといえば、冬にアメリカで大雪で経済が停滞したのです。そこで当時、新任の「イエレン」さんは、がドルが高すぎると発言してドル安に行ったのです。今年の場合はトランプさんが、そういったのです。
トランプさんからすれば、せっかく回復軌道に乗っている米国経済の足を引っ張るとすれば国内要因ではなく、海外事情です。物価が上昇しておらず、「GDP」の伸びも緩慢な外国は足を引っ張るので、ドル安を要求するのは当然の話です。
参考までに、イギリスは物価が上昇しており、イギリス不安説を言う人は何を根拠に言うのか不思議に思います。また、対オセアニア通貨に対して、ユーロ、ポンドの「ボラタリティー」が相当上がっており、オセアニア投資からヨーロッパへのレパトリが確認できます。
つまり、資源国で先進国である、オーストラリアは「キャピタルフライト」によって、経済減速する可能性が高いのに、なぜかみなさん買い推奨。当面、資源、新興国は売るか、安値拾いをするほかないのに、なぜか、不思議に思います。
今年の場合は、サミットの裏合意として、おそらくドル安があると思いますので、円安になる見込みが少ないのに、なぜ、円安、円安と叫ぶのか、よくわかりません。
今後の予想
金利も上がる見込みはない、物価も緩慢な動き、日本に至っては再び「デフレ」になる可能性があるのに、なぜ、株に強気するのかさっぱり理解ができません。
となれば、円は高くなると考えるのが通常なのに、なんで円安なの?とはいつも思います。テクニカルも相変わらず、きれいな円高へ向かう形です。
みなさんにお教えをした日足の30をみればきれいにそこで止まっていますよね。何が円高にもっていく材料なのか、さっぱりわかりませんが、円安を意識する場面ではありません。
どう考えても「年内には100円近辺」まで行きます。「へたすれば75円」です。利上げ後はようやく、円高になると専門家も理解し始めたらしく、ファンドのポジションも円高に偏ったから利上げ発表後に円安にいって、踏みを促進しただけの話で中身はないと考えるのが普通です。
踏んだのだから下がるけど、本日、日経2万超え。意味不明だと思います。アメリカの経済指標は思っている水準より悪い、悪くはないけど、良いと言える水準にはない、ということです。
そして、金と仮想通貨の高騰です。利上げをしているのに下がらない、この原因をきちんと考えなければいけません。
(この記事を書いた人:角野 實)