ユーロとアメリカの経済格差は、2016年は1.13倍、であったと計算をされます。
参考までに、ドル円の日米格差は3.9倍くらいになります。ユーロドルの適正レートは、そうなると適正値は1ユーロが1.13くらいになる計算になります。
しかし、今年に入ってからのユーロとアメリカ経済の格差は1.6パーセント拡大をしていますので、だいたい、1.15から1.16がこのユーロ急騰の頭であろうという計算はしていました。
詳細は、今回、FXworks さんに、特別原稿を依頼され、その詳細の内容を書いておりますので是非ともそのレポートを手に入れてみてください。近日中には原稿をアップします。
ユーロドルはなぜ上昇したのか?
かんたんな話が、今年の1-3月期はユーロの成長がアメリカを上回ったからユーロが上昇をしたのです。そして4-6月期は、おそらくアメリカの成長がユーロを上回ると思われますので間もなく反転をするのは間違いのないことでした。
まもなくアメリカの4-6月期の成長が発表されますが、その予想値はだいたい、2パーセントの半ばになります。それにたいしてユーロは頑張っても2パーセントの前半になると思います。
そうなると今年の前半は「ユーロ>アメリカ」でしたが、4-6月期は「アメリカ>ユーロ」になるか、もしくはがんばって、「アメリカ=ユーロ」になります。アメリカ=ユーロであれば適正値は1.13くらいになりますが、その稼働範囲は1.13-1.15になり魅力のない投資通貨ペアになります。
となるとユーロが動いたのは今年の前半のみで、おそらくあまり魅力のない通貨ペアになるだろうと思われます。
三極圏の通貨でいえば?
通貨の三極圏とは「ドル、ユーロ、円」になります。本来ならここに、中国人民元がはいらなければいけないのですが、やはり、ストップ制限があったり、外貨を売るのには税金が課税されたりすると、投資資金は逃げます。
ですから中国の経済を考えると日本円に取ってかわって、人民元が代わりの三極通貨になるのですが、人民元がその規制から三極圏通貨にならないだけの話です。
となると、三極圏の通貨ペアは、「ドル円、ユーロドル、ユーロ円」になります。このうち、ユーロドルの稼働範囲というのは、1.13-1.15になりますから、ボラタリティーが極端に低下し、ユーロドルには実需の売買しか集まらず、投機マネーはドル円、ユーロ円に集中することになると思います。
しかし、ユーロ円は、おそらく今後も動きますが、結局は、世界経済における日本の割合は6パーセント弱しかなく、取引量はユーロドルやドル円に比べ極端に減ります。つまり流動性の問題でドル円に投機資金が集中することが予想されます。年後半は、ドル円が大きく動くことでしょう。
ユーロ円の動向
ユーロドルが頭を打ち、そして、ドル円はこれから、戻りに入ると今朝のコラムで書きました。
そうなると、円安の戻りのほうが大きくなりますので、ユーロ円のお祭りは続くようには、一瞬見えるでしょう。しかし、その実態はドル円の戻りだけの話で、再び、ドル円が戻り売りの形になれば、ユーロ円はユーロドルとドル円の下落に合わせて二重に下落をするという構図になります。
このドル円が中国人民元高、ドル安の影響で円安になったのと同じことでドル円の円高は、2週間のタイムラグがあったように、ユーロ円の下落開始というのは7月の末あたりからと考えるのが妥当でしょう。
もちろん、その前にユーロドルの頭を確認しないとその皮算用をするのは早いことです。今朝のテレビで、ユーロドルの売りポジが最高地点になっているとの解説もありましたが、ファンドもこの計算をしているだけの話で、解説はまともですが、内容がわかっているかどうかは非常に疑問になります。
この解説の方はなぜ、ファンドがユーロドルを売りまくるのか、を理解していないとは思います。
基準値を知ると、割安、割高がわかるので仕掛け安い!
さっと計算をしてみたところやはり、ポンドが割安な計算になります。つまりユーロが売られるに従い、ポンドは買いになりやすいということです。だいたい、ポンドドルで1.41が現在の適正値であり、1.3では非常に割安な状態になります。
ずっと、私は「ユーロより、ポンドのほうが本命だ」、といっていた理由がわかりましたでしょうか?
ポンド円は円高とポンド高の綱引きになります。それよりもドル円のほうが、割安過ぎますけどね。でも、日本銀行がまた「金融緩和」をすると思いますので、なかなか下げないから非常にやりにくいだけの話です。
(この記事を書いた人:角野 實)