きのうのアメリカ市場の話題は、閑散とする中、「JOLT,雇用動向調査」が過去最高を更新したことになります。
わからない方に説明をすれば、日本語的にいえば「求人募集の数」のことになります。つまり、企業は人を募集するのが過去最高になったということになります。
JOLTの解説
先ず、このJOLTの「過去最高」という言葉に踊らされてはいけないと思います。これを、分析していくと採用率は3.7パーセント低下、そして求人数は4パーセント増加をしているという統計からは、誰でもわかると思いますが、採用したい企業と雇用される側のミスマッチが起こっているということになります。
つまり企業は人を募集するけれど、雇われる側はその求人に対して応募をしない人が多いということになります。これをミスマッチと一言で片づけてしまう専門家がほとんどですが、要するに、採用する側の条件があまりにも低い条件すぎてそれに応募する人がいない、というのは容易に想像できると思います。
もっとかんたんにいえば「給料が安い」ということになります。求人は山のように出てくるけれど、給料が安いから応募をしないだけの話です。
これは、日本でも今後、そうなってくると思いますが、低スキルの仕事に対して、つまりコンピューターやAIにとって変われる仕事は賃金の上昇は全く見込めない、そして頭脳労働に対しては高単価を払うという傾向が強まっていると思います。
つまり、仕事は今後もあるけれど給料が安い仕事は山のように溢れ、専門性を追求する仕事には給料が高いが、労働者のスキルがついていかないということは今後、日本でも間違いなく起こるということです。
ですから、現状、仕事がある人でも、機械で対応できない専門性を磨く必要がみなさんにとっても、私にとっても必要であるということです。これは、時代の変化であり、ニーズであることをよく認識することが大事です。
アメリカでは求人が過去最高なのですから、自主退職の方は悠然と次の条件のよい仕事を探すという循環になっていますので、今後、雇用市場はそれほど期待するほど伸びないということになるでしょう。
注目は賃金上昇になりますが、各種指標は、賃金の上昇を示す傾向は見られません。つまり、まだ、当分、低金利が続き、そして「FRB」の利上げもほとんどの方が年末になると予想するのはそのためです。
私からすれば、利上げもテーパリングも金融引き締めなのですから「これからは円高でしょ。」としか思っていません。金融引き締めをして円安と騒ぐ方は頭がおかしいとしか思っていません。
クレジットカード残高増加
いわゆる、「リーマンショック」の原因というのは低所得者層の行き過ぎた借金がその崩壊の原因となったのですが、今のアメリカ社会でもやはりクレジットカード残高や車ローン残高が危機を煽っています。
しかし、この指摘は一見まともなように見えますが、「リーマンショック」の原因は「サブプライム」という低所得者ローンが原因でもありますが、一番の要因は、その低所得者ローンを証券化してそれにレバレッジをかけてしまったことにあります。その上、その証券がトリプルAの評価をしてしまったことに原因があります。
つまり、主な原因は、レバレッジをかけて、しかも20倍、30倍、その上、そのローンが返せる見込みもないのに、格付け会社は最高評価をしてしまったから「リーマンショック」が起こったのです。
ですから、消費者ローン残高が増えたからといって、リーマンのような二の舞になるわけではない、ということを承知してほしいと思います。
ともかく低金利は続く?
今のアメリカ経済の問題というのは低金利であり、「政策金利」と市場金利のかい離が激しいことが問題なのです。金利が低いというのは、借入不足であり、資金需要の枯渇なのです。つまり、手元の現金で資金調達ができるから、金利が上昇しないというのが基本原理になります。
それで消費者ローン残高が増えて、危ないと騒ぐマスコミは何も理解をしていないということです。日本でも消費者ローン残高が増えていますが、結局、借り手がいないということです。
ともかく景気の拡大局面において、物価や金利が上昇するのが当たり前の話なのですが、実際はしない、だから、いつもアメリカ政府がやるのは、ドル安政策なのに、このドル安が政策相場であることに気づいていない人が多いのです。
ドル安の原因がマーケットにあると思っている方にとっては、政策のことなど考えていませんのでその原因を突き止めることなんかできっこありません。その対極の原因が、ユーロ、特にドイツにあると考えると、ドイツの株価が目先戻りそうな感じです。
そうなると、ユーロ安を誘発する可能性があるのです。そのほかの材料は自動車産業で補完をすればいい、という話をしているのですが、わかっていない方が多いのが非常に残念です。
今の最後の4行くらいに今後の相場動向の重要なヒントが隠れているのですが、おわかりになりましたでしょうか?北朝鮮?いつかは起こるでしょうが今は、ユーロの動向ですよ。
(この記事を書いた人:角野 實)