年末はこれから、アメリカでは年明けまで休暇を取る方が多いため、31日に指標が集中するのではなく、クリスマス前に指標が集中します。どこのサイトも書いていますが、ここから薄商いが続きますので、注意が必要です。
FRBが利上げする度に円高
私の考え方というのは、クリスマス明けから例年、マーケットは上に上がるのが常なのですが今年はどうでしょうか?結局、トランプ減税は、FRBの利上げ効果と一緒で、実質上、FRBのQEを延長したようなものである、と考えています。
つまり、FRBがリーマンショックで景気低迷のためお金をばらまいた、そのQEの縮小が10月から始まり、いわゆるヘリコプターマネーをやめました。
しかし、2018年からはトランプ減税によって、今度はFRBでなくアメリカ政府がヘリコプターマネーをばらまくだけの話で、実質、アメリカの金融緩和を再開しただけ、と考えています。
FRBはお金をばらまきながら、ゼロ金利、ないしは低金利の誘導をしましたが、トランプ減税は、金利を上げようとする政策になるのです。FRBが利上げをするたびに、私は、円高になるよ、と叫んでいましたが、実際にそうなったと思います。
そして、今度は来年からアメリカ政府が減税によって起こる財源不足を補うために主に10年物国債を発行する、しかも、その金利を、FRBは低金利を志向しましたが、アメリカ政府は高金利を志向する、これが来年の相場になります。
つまりドル円、FXにおいては、金利上昇は、円高なのですから、ドル円相場は円高傾向になる、ということです。それを円安、円安と叫ぶ人の気がしれません。
アメリカの景気
一方で企業業績は減税分、それを設備投資や労働再分配に向けるという見方が一般的ですが、金利が上昇するという視点が欠けているのには笑ってしまいます。今まで、金利が上昇する度に、ドル安や株安を招いたことを専門家と称する人たちは忘れてしまっています。
アメリカは絶好調と、叫ぶ人がいますが、それは減税のことばかりにフォーカスを当て、金利上昇に目を向ける人がほとんどいません。
金利が上昇するのに、しかも、その金利は上昇傾向になるのに、従業員にその利益を配分し、そして、さらに儲けるために設備投資をするのか、といえば、企業の経営者ならおわかりになると思いますが、借金をしてまでリスクをとるほどまでには景気が回復はしていない、と判断するのが普通だと思います。
大して景気がよくなっていない日本
日本も同じことで、消費税増税で、景気がとん挫することがわかっていて、だれが、消費を増やすか、そして企業経営者は、設備投資や従業員の給料を上げるか、ということです。
この状況は言葉の説明でもわかると思いますが、アメリカのほうがまだまし、という判断が働くと思います。日本は増税を控えてそんな出費が増えることなど誰もやりません。
ただ、アメリカは金利での出費は拡大しますが、経済全体は上向きですので、景気が下押しても一時的になりそうですが、日本は、単に今年が良いと感じるのは、2016年がブリグジットやトランプリスクによって為替が不安定になり経済が不安定になった結果、景気が悪かったので相対的に2017年がよくなったように見えただけ、ということを認識する人はほとんどいません。
比べる対象が2016年であるからよくなったような印象ですが、過去10年と比べると大してよくなっていません。つまり、株価などは典型的に買いすぎなのです。
つまり、株価はすでに日本の場合、上昇しすぎで、すでにバブルなのですが、ファンダメンタルズに基づいて株価が高いとか言っているアナリストが多いのには笑ってしまいます。
おそらく、世界景気が低迷をすれば、また、日経は15000-18000円まで行くのであろうな、と思います。来年に関しては世界景気が低迷するリスクというのは、レパトリ減税によって、新興国から資金が一気にドルに向かうリスクがあげられますが、ドル安誘導になりますので、その調整がうまくいかなかった場合には、大きく下がることでしょう。
新興国は下火
ともかく新興国はアメリカの金利上昇は、今までほとんど金利のつかなかった、アメリカ金利が上昇するのですから資本流出の危機になり、2015年末のブラジル国債のジャンク債扱いからもわかるように、借金のほとんどドル建てになっていますので、金利上昇からの債務返済が苦しくなりますので、新興国にはいいことがないと思います。
こういうことを観点に、きのう発表された指標の解説をご覧ください。
(この記事を書いた人:角野 實)