きのう、ブルームバーグが伝えたニュースによると、中国がアメリカ債の購入を減額するとの見通しということで、マーケットが混乱をしました。
大体、例年は中国に関しては正月やお盆に良くないニュースを発信するものなのですが、今回は正月明けに発表したということに関してはいつも通りだな、ということもありますし、なぜ、公式発表として正月に発表をしなかったのか、とは思います。
この構図
このニュースに反応をしたとするのであれば、アメリカ政府は減税によって国債の発行を増価し、一方でFRBは買い取った国債を売却するのでトータルでは国債の発行量は増える、つまり需給が緩和するので、価格は下がります。
債券においては、価格が下がれば金利は上昇します。ですから、きのうも記したようにアメリカの金利上昇に拍車をかけた構図になります。
そして外国為替市場においては中国が国債購入量を減らすということはドル買いの需要が減ることになり、その結果、ドル安、人民元高になるのですが、その通りの結果になっています。
上記のチャートはドル人民元になりますが、9日からドル安、人民元高が進行し、このままではドル安の流れが固定化されてしまうことから、きのうの中国の当局者からの口先介入と考えることが妥当であろうと簡単に読むことができます。
つまり、中国は景気の後退が懸念されるなか、人民元安を誘導したいという思惑があり、ドル安になってしまうと、人民元高に自動的になってしまう、という思惑からきのうのブルームバーグへのリークにつながったのであろうと考えるのが妥当であろう、と思います。
このブルームバーグへのリークでドル人民元に口先介入をして人民元安を安定させたい思惑であり、おそらく、アメリカ国債の購入減や売却などはあり得ないであろうと思います。
つまりこの世界経済大国の1位、2位コンビがドル安人民元安を維持させようとするのであれば、ドル高です。私が言うように年初からドル高の傾向が顕著になっています。
商品市況が今後も高いとか、また誰かが騒いでいますが、ドルが高くて商品相場の活況など長続きするわけもありませんし、世界の資源消費大国はアメリカですが、次いで中国です。
その中国がもうほとんど、これから景気後退に入りますよと宣言しているのに、商品市場の活況の終了も近い、そのうえ、日本株は貿易相手国ナンバー1が中国なのに、なんで高いと言えるのか、なんともまぁの話になります。
一方で、アメリカ経済は現在、好調ですがユーロのほうが高い傾向が続いています。これはトランプ政権のドル安政策のためであって、年初からはこの中国の不調によってドル高に転換しつつある話をきのうしました。
でも、きのうユーロドルが戻るかもしれないと書きましたが、一瞬戻って、また、ドル高トレンドに戻るでしょう。
この結果の見通し
非常に簡単な話で、日本は中国がこのブルームバーグへのリークによって、悪いことを内外に宣言を出したようなものです。その結果、日本株など上昇する訳もなく、円も安くなるわけがないでしょ、ということになります。
アメリカは、これだけ金利が上昇をして、景気の下押し圧力がないわけがないでしょう。去年はトランプラリーによって、金利が上昇し、冬場に株やドルがどうなり、その結果、4月のシリア攻撃、北朝鮮攻撃を示唆ということになったのです。
要するに長い金利低迷によって、金利上昇による経済への悪化を語ることができない専門家が増えていますし、最近のアメリカ金利上昇局面において株価やドルへの影響が薄かったことからみなさん軽視をし過ぎだと思います。
今回の金利上昇は世界的な景気上昇を伴うものですので実業界への影響は甚大です。そして世界的な株高と騒ぎますが、日米欧はいいでしょう。でもその一角である中国が景気後退で、本当にこの株高長続きするのですか?
(この記事を書いた人:角野 實)