書かなければいけないことはたくさんあるのですが、淡々と書いていこうと思います。
トランプの意図
1年目の政権発足当時は、トランプラリーによって華々しいスタートを切ったトランプ政権になりますが、イエメンでの軍事作戦の失敗によって失速し、そして、冬場のアメリカ経済失速が、北朝鮮、シリアへの威嚇につながったのです。
彼の一番のネックというのは支持率、どの政治家にとってもそうですが、にあります。つまり、支持は経済が好調でないと支持は集まらないということです。
ですから、支持率が低迷するとそれは政権のレームダック化を意味します。それを避けるために軍事衝突の促進とドル安を行っただけの話です。経済が復活した現在、北朝鮮は考えられない、ということです。北朝鮮に注目する人が非常に減っていますが、トランプが選挙で勝てる支持率がある限りは戦争などしない、というのは私が従前から言っている通りです。
では、トランプは何を考えているのか?といえば、アメリカファーストの公約の実現で、就任前には1兆ドルのインフラ投資と言っていたのですが、今回の一般教書では1.5兆ドルというらしいです。そのお金はドル安から調達をしたのです。
つまり政府にはお金がないから、民間から調達するのです。それを今年、ドル高にすれば、巨額のドル安で集まった資金を運用すれば、去年ドルに対してユーロは15パーセント下落をし、株は20パーセント上昇したのですから、おそらく平均30パーセント以上の利回りがあったのです。
加えて今年は金利が年初から急騰です。海外投資家の利益はいくらになるのか、おわかりになると思います。投資家にとっては、こんなおいしい投資はないのです。
今年は、ドルが高くすることによって去年並みの利回りを維持させようとするだけの話です。つまり日本の投資家にとって、去年は円高によって、為替差損を発生させたのですが、今後は為替差益によって利益が出るということになるという計算です。
私からみると、かなり精緻な政策によってアメリカを向上させているとしか思えませんが、自分の生活が楽になって喜ばないアメリカの有権者というのは民主党支持者のセレブ層なのだね、と思います。
個人的には人としては好かれない人だと思いますが、その手腕は見事だと思います。こういう展開をみると、本当にお見事という感じです。トランプが日本の首相であったら私は大嫌いの急先鋒になったと思いますが、アメリカでよかったというのが本音です。
きのうのアメリカ株下げ
ダウが300ドルも下げましたが、おとといの下げと、きょうの下げが違う点は、ドル安でも株価が下がったということです。そして今後のアメリカの経済指標をみると、ISM、雇用統計など、不振の数字のオンパレードになりそうな統計結果の発表ばかりです。
そして日本は、長期金利が0.1パーセント以上になりそうで日銀による国債の買いオペが実施されそうな勢いです。買いオペは円高要因になります。円高になれば株安のスパイラルになる可能性があります。
ドル高転換の注目点
去年のドル安は何の声明もなく、気付いた人だけが、ドル安転換は行われたと考えるものです。個人的には今年はダボス会議でトランプがドル高への転換声明を出したと考えるべきだと思います。
今のドル円のボラが上がり、VIXが上昇しているのは、ファンドのポジションの組み換えと考えます。IMMやCFTCをこういう観点でみていないと、意味がわかりません。
なぜ、ここでポジションを入れ替えるのか、ということです。私は見ていませんが、あんなものを見て、マーケットがわかるとほざくやつはキチガイだと思っています。自分の考えの正しさを見るために見るものだと思います。
きょうの相場
尾河真紀が曲がらなかった、という点につきます。いまだに金利差なんて、言っている時点でど素人と思います。たまには当たることもあるんだ、と思います。
当たったとは言えないような幅ですが。トランプの一般教書、FOMCなど材料が多すぎなんともいえませんが、ともかくドル高に向けてのポジション調整になると思います。ほかにもユーロGDPや年率GDP、アメリカ経済指標もかかなければ多いのですが、割愛です。
(この記事を書いた人:角野 實)