きのうのコーンNEC委員長の辞任は一般的には報復関税に反対したためと言われていいます。個人的な意見としては、この辞任はそんなことではない、とは思うのですがあくまでも推測にすぎません。
ただ、貿易赤字問題というのはアメリカ経済にとっては看過できない問題であることは確かだと思います。
アメリカ貿易赤字問題
トランプはいつも経済指標が悪化をしていると、その前に具体的な政策を打ち出してくるのはいつもの恒例行事です。きのう発表されたアメリカの貿易赤字は以下のグラフの通りです。
上記のグラフをみればトランプがガタガタ騒ぐのは当然の話だとみなさんおわかりになると思います。ともかくトランプの行動規範というのは悪い経済指標が出てくるような形になれば直ちに動く、これが彼の行動原理のように思います。これは、みなさんも覚えておくとよいと思います。
つまり、トランプは悪い経済指標が出る見込みになるとツイッターで騒ぎ、実際に行動に出るということです。毎回、毎回、同じパターンなのに、意外だったと報道されますが、そんなことを言っている連中は明らかな勉強不足なのです。
つまり、貿易赤字というのは、冬の期間、つまり1-3月期に毎年悪化を続けるのです。去年もトランプラリーによってドル高になり、その結果、貿易赤字が拡大したのです。
その結末はGDPの悪化、そしてシリア、北朝鮮攻撃発言につながったのです。ただ、今年の場合は大幅なドル安になりますのでGDPまで波及しないと考えられます。
つまり、北朝鮮情勢の悪化にはつながらないと予想しています。北朝鮮はアメリカでのトランプ支持率が下がった場合の最後のカードと個人的には考えていますので、支持率に大幅な変化がない限りなにも変化はないと思います。
少なくても、中間選挙まではそのカードをトランプは握ることでしょう。大統領支持率というのは日本と同様、経済の状況に大きく左右されますので、アメリカ国内の経済が悪化したときには北朝鮮有事を考えなくてはいけないと思います。現状のアメリカでは、ま、北朝鮮有事はありえないね、とは思います。
雇用統計の事前学習
ADP雇用統計
失業保険申請者数
この状況から新規雇用者数というのは好調というのは、だいたい、事前に予想できます。みなさんもこれだけ雇用者数の予想には、だいたいアメリカの何をみればお分かりになると思います。
ただし、アメリカというのは現在、ほとんど完全雇用に近い状態で、マーケットは新規雇用者数に注目していない、ということは何度も申し上げた通りになります。つまり雇用統計には、新規雇用なんてマーケットは現状相手にしていない、ということを覚えておいてください。
マーケットの注目は、失業者が景気好調になりますので、また完全雇用で失業者がいないことになりますので、この新規雇用というのは転職需要というのがわかります。
ですから、これら新規雇用が増えても、この人たちは前職からのお給料がありますからゼロではない、というのはおわかりになります。つまり、失業者がお給料がゼロであったら新規雇用は非常に重要になりますが、転職であればお給料の増加が問題になるのです。
つまり、新規雇用はこれ以上増える見込みがないわけですから。お給料がいくらあがったかの問題になるのです。この内容は雇用統計の中では平均時給になるのです。
雇用統計は現在、新規雇用ではなく、平均時給が非常に重要になるのです。そして一人当たりの労働時間をの長短によって労働市場の需給ひっ迫がわかります。
つまり、ひっ迫していれば、自動的に賃金が来月以降、上昇していくだろうと予想できると思います。おそらく先月の2.9はやりすぎだと思いますので、それほど良くならないだろうと思います。
本日の相場
きのうのコーン委員長辞任でマーケットが下振れしすぎだと思います。本日も円安という方針で変わらず、きのうの戻りが鈍すぎるので、本日はその取返しが効くか、どうかの問題です。
みなさんが気にしていらっしゃる円安のピークは月末のファンドの解約締め切り前、つまり27日と現時点で考えています。その間に円安になりすぎるとそれよりも早くなります。
その目安は109円くらいじゃないの?と言っている通りです。今日は8日で109円になるまで19日必要、なんて足が遅いのかはみなさんおわかりにあると思います。
(この記事を書いた人:角野 實)