円安になると思っていたが、すでに4月に円高になると思っていたことが先取りして円高になっています。予測を外してしまったし、私の買い玉はすべて消え失せました。申し訳ありません。先ずは今回の円高について、考えていきたいと思います。
貿易戦争なんかではない
何度もこの話を持ち出しますが、今年の年初、中国が、アメリカ国債の保有を減らすかもしれない、というリークがブルームバークを通じて流されました。この問題の大きさというのは、みなさんもお分かりになると思いますが、中国はアメリカ国債の大きな保有国になります。
つまり、アメリカからすれば中国に国債を保有してもらわなければ困る、ということになります。おそらく、このリークがトランプの行動を左右していると思います。
まず、中国が国債の保有を減らした場合、ただでさえ、アメリカの財政赤字が膨らんでいるのですから、その引き受け手がなくなるということを意味します。
ですからトランプはこの恫喝に対して、ドル高路線に変更せざるを得なくなりました。しかし、貿易問題では、アメリカは中国に対して莫大な赤字を垂れ流しているだけです。莫大といってもアメリカのGDPに対して貿易赤字は5パーセントしか占有率がなく、莫大というか、どうかは疑問の余地があります。
でも、ドル高にすれば、中国は人民元安になり、輸出に有利なうえに、その上、保有のアメリカ国大には利益が乗ってくる。トランプからすれば、貿易でも中国はアメリカからも利益を吸い取って、その上、国債でも利益を吸い取られる。アンフェアだ!と、シャウトしたことは想像に難くないと思います。
ここで考えてほしいのは、日本のことです。日本も中国と同じようなアメリカとの関係です。中国と同じく、国債の保有量も多い、そして、貿易も中国に比べて数字はそれほど対米貿易においての黒字は少ないですが、環境は酷似しています。
つまり、今回の貿易摩擦は日本も標的であって、日本にアメリカの関税特例処置が認められる可能性はかなりの確率で低い、ということになります。
日本のピーチク、パーチク、円安にしろ、円安にしろと小うるさいのは確かです。安倍さんはそのようなことはいいませんが、自民党を筆頭とした、与党や野党の中にそういう議員が多いのは確かです。
もうアメリカは十分にドル安にしたのだから、そろそろ円安にしろ、と国会議員にはタニマチが輸出企業というケースがほとんどなので、何もわかっていない連中が吠える。バカじゃないか、としか思いません。放っておいても、この2年間の動きをみると、円安になるのはわかっているから、安倍さんは何も言わないのであって、外野がトランプを刺激しているのです。
だからアメリカ車の販売は日本国内においてはアンフェアだ、と訳のわからないことをトランプは言い始めるのです。要するに、トランプは何を求めているのか、おわかりになるでしょうか?
おまえらの望み通りドル高にしてやるよ、でも、貿易の不均衡を是正しないとドル高にしてやんねーよ、と言っているだけなのです。
もう一つの暗雲
ここにきて、もう一つの不穏な空気が、出始めています。マネックス証券の広木が、日本経済は1月以降に大幅な景気低下を招いているとモーサテで発言をしばらく前にしました。
グラフをみると一目瞭然なのですが、1月に景況感指数の一致指数が5パーセントも低下をしているのです。過去に比類がないほどの低下です。それでアメリカはどうなのか、という疑問になります。
アメリカもこの全米の景況感指数が3月に大幅な低下をしています。この低下の理由というのは小売売上が減っているからという理由も推察できます。なぜなら、アメリカは消費の国ですから、アメリカの小売り、消費が落ちこめば景気が低迷にするのは目に見えています。
では、再び日本の戻った場合、日本の景気が低迷し始めた理由は何なのでしょうか?株などは、G7の各国よりも日本は南に位置をしていますので、冬場は中国やアメリカと比較をして景気が下振れしにくいことがありますので、株価が大きく下落することはありません。
消費もある程度、好調とまでいいませんが、例年よりもいい、という程度です。ただし、売り上げは野菜の高騰による好調原因が大きい反面をみれば、日本の景気が大幅に低下をした原因がわかりません。これは非常に簡単な話で、外需です。
その根本原因というのは、中国になるだろうと思います。まず、中国の経済指標が信用ならないのは、その数値が実質ということです。実質というのは、復習になりますが、人民元建てということです。それに対して名目というのはアメリカドル建てという意味です。
中国の経済指標のほとんどが実質、つまり人民元建てなのですから、これだけのドル安でしたら、人民元は高くなるのです。その結果、実態以上に中国の景気が悪いのに中国の経済が数字の上ではよくなるということです。
貿易問題では、中国は恐ろしく反発するでしょうし、アメリカからすれば、いつかはドル安を訂正しなければならないのはアメリカ自身が分かっていることです。なぜなら、通貨安になることを前提に投資家はアメリカなどに投資をしない、ということです。
ですから、今回の貿易問題というのは、アメリカが発生源ではなく、本当は中国なのだろうな、と思います。ドル高になればロシアは大反発します。今までドル安によって原油高を維持させていたのが、ドル高になれば原油は急落をします。
だから、アメリカと中国、ロシアは反発しあうのです。その代理戦争がシリア、イラン、北朝鮮で行われているだけの話です。貿易戦争なんかじゃありません。根本原因は。
つまり今回の相場の下げ要因は中国になる可能性が大きいのです。この分析はまだ途中ですので、なんとなく目途がつけばまたお知らせしましょう。
今後の展開
わからん、曲がり屋に聞くな、としか言えません。こういうときは、テクニカルに従うほかありません。ドル円の日足、週足、月足、の移動平均10.30をみてください。まだまだ円高続きそうですね。
(この記事を書いた人:角野 實)