ZEWとは、欧州経済センターのことになります。このドイツの景況感指数が重要視をされる理由というのはヨーロッパの代表的な景況感指数が、ifo指数になります。
このifo指数というのがヨーロッパでは代表的な景況感指数であり、アメリカに相当するのはISM指数、日本では日銀短観に相当します。
景況感指数というのはアンケート調査によって算出される統計であり、その中は購買担当者指数、PMI指数もこの景況感指数の一つになります。
経済指標には先行、一致、遅行指数があり、景況感指数は当然、先行指数になります。ほかの先行指数と違う点は、景況感指数というのはアンケート調査なのに対して、ほかの鉱工業生産などは、実際に出た数字からの統計になります。
ZEW景況感指数の期待指数
上記は日本、アメリカ、ヨーロッパの今後の経済見通しに対してのアンケート調査になります。2018年の最初が景気のピークであり、その後は下落の一途になります。
このグラフと株価は見事に一致をしており、今後の株価がどうなるかはあまり考えなくていいように思います。ただ、これは現状の指数ではなく、期待指数であることに注意です。
つまり、将来の景気が悪化すると見込んでいる人が多い中、お金をじゃんじゃん使う人は少なくなるのですから、株価が上昇する訳がありません。しかし、この期待指数が今後、改善するということになれば、株価はお金を使う人が増えるので上昇していくことになるでしょう。
このグラフのポイントは現状の期待指数というのは、日本の期待指数が一番、まし、ということになります。為替相場というのは何度もお話しをしているように相対的なレートになりますので、日本円はどうなるか?を考えてほしいということです。
アメリカやユーロ圏よりもましな経済になるのですから、ドル高、ユーロ安、円安ということになるのがおわかりになるでしょうか?
たとえば、これだけ景況感が悪化をするということは、アメリカとユーロがこの景気を引っ張ったと考えることができ、そのアメリカの好調な理由はドル安、そしてユーロは金融緩和策によって好調を維持したということになります。
仮にユーロのECBが金融緩和を停止した場合には、ユーロの景気が沈みこみ、その結果としてドル高になる、と考えることができます。実際にトランプはドル高にすることを宣言しています。
きのうから、ロシア、中国に対して、トランプが、通貨安を仕掛けていると発言するということはトランプがドル安を望んでいるからだ、なんて荒唐無稽なロジックがマーケットを闊歩していますが、アホではないか、と思います。
本来ならドル安を続けてさらにアメリカを成長させたいのがトランプなのですが、通貨安によってロシア、中国が余計に発展をすることに文句を言った、と取るのが正解だと思います。その報道を真に受けて、本当の円高、ドル安になってしまうのにはさらに吃驚しましたが。
アメリカの政策はトランプ大統領の言うようにドル高になると思います。彼は、無茶な発言ばかりしますが、言ったことをやらなかったことは一度もない、ということです。
このドル高誘導発言を訂正するのであれば、その訂正をまた無茶苦茶なやり方で変える、と宣言すると思います。だから、まだやっていないことはアマゾンと北朝鮮です。
これは、必ず標的になります。そして、言外に共産圏を叩くとも言っています。本日は日米首脳会談ですが、貿易不均衡に対してそれなりの成果を収めないと、より強力なプレッシャーとなるでしょう。
そのプレッシャーはアメリカ債を買いなさい、といプレッシャーだと思います。この会談がうまくいけば日本は中国よりも大幅にアメリカ債を買うことになるでしょう。
ほかの先行指標
景況感指数は日本、アメリカ、ヨーロッパでも悪化をしているのですが、鉱工業生産は順調に伸びてきているのです。つまり鉱工業生産が順調ということは、企業は現状まだ好景気が続くとみているから生産を拡大するのであって、不景気になると判断をして生産を拡大する企業などあるわけがありません。
ただし、この鉱工業生産の伸びは緩慢であるということも言えると思います。では、景況感指数は悪化の一途で、鉱工業生産は順調まではいかないまでも、好調という範囲になっているのか、ということです。
それは、やはりリーマンショックの被害から真っ先に立ち直ったアメリカが、先行きが暗いということが挙げられるということになると思います。
そのアメリカを引っ張った原因は「ドル安」であり、そのドル安が転換をしてドル高になった場合、どうなるのか、ということです。
(この記事を書いた人:角野 實)