日本のGDP1次速報が15日に株の寄り前に発表をされます。この予想が前期比マイナスとなっており、この辺をどのように考えるかによって、マーケットの対応が変わります。
ともかく、何年ぶりかで、実質GDPが前期比マイナスになるのですから、その衝撃というのは大きいと思います。ですから真剣に考えていかなければいけないと思います。
GDPのおさらい
アメリカが名目で2.3になり、日本が実質で-0.1予想なのだから「アメリカ>日本」と考え、円高になる、という予想はGDPのことを全く理解していない、と言われても仕方がありません。GDPの発表は日本の場合、名目と実質のGDPの発表があり、その違いをきちんと理解している人が非常に少ないのです。
正直いえば、テレビやネットで偉そうに解説をしている連中でも、このことがわかっていない人が圧倒的多数ですし、為替がGDPを中心に値決めをされているということが分かっていない人は為替取引をしている人の9割9分だと思います。
ただ、私も数年前まで、このことに気づいていませんでしたので、読者のみなさんでもわかっているほうが珍しいと思います。わかっていなければ、覚えて、学習をすればいいだけなのです。
ただ、こういうことをテレビに出ている連中や偉そうに解説をしている連中に教えてやると、鼻で笑われるような態度を取られるというのは個人的にはわかっています。
彼らは当たりもしないのに、態度だけは100人前というのはよく覚えておいたほうがよいでしょう。
要するに本人が当たらないことを自覚していますので、他人を寄せ付けないことによって、そのプライドを維持しているだけの連中なのです。もっといえば、金融機関全体がそのような連中の集団と考えたほうがいいと思います。
金融機関というだけで、それがすごい、というような一般の方の反応になるのは辞めて初めて知りましたが、中にいた人間から言わせると、レベルはみなさんとあまり変わらない、要するに連中はプロのフリをしているだけです。
私は、こういうことをよく知っていますので、連中を小ばかにしているのです。そもそも、自分で相場観を組み立てられない人は、相場をやるべきでない、と考えています。
プロと称する連中の意見、私を含めて、参考程度にとどめればいいのです。それを全部、採用すれば曲がって当たり前のことです。話が逸れましたが、特別レポートでもさんざん書いたのですが、GDPには二種類あります。
二種類のGDPについて
ドル建ての「名目GDP」と自国通貨建ての「実質GDP」で成り立っています。この二種類は似て非なるものになります。なぜなら、比べる通貨がドル建てと円建てであれば、そもそも比較対象が違うのですから、これを等号、不等号で並べても意味がないのです。
そして日本のGDPというのは実質GDPでも前期比とそして、前年同期比、GDPの場合は年率と言いますが、この二種類が発表され、名目もこの二種類が発表されます。
報道などはだいたい実質の前期比が報道され、これが今回、マイナスになるという予想を大々的に報道をしているのです。
モリカケ問題で忖度の問題がたびたび、取り上げられますが、この経済指標の発表もひどいもので、前期比があまりよくない数字ですと、NHKをも含め、年率はたいていの場合、前期よりも良いのでそちらにフォーカスを当てて報道をするのです。
誰に忖度をしているのかさっぱりわかりませんが、GDPの報道にも忖度が働いているのも事実です。わざわざ自分で調べて、名目の値や年率を調べる人も少ないでしょうから、日本の景気はよいのだ、と大衆に勘違いをさせる偏向報道を行っているのです。
国会議員や官僚の忖度よりも、新聞社、マスコミのほうが酷いのに、よく自分を差し置いて、官僚などを攻めることができますよね、とだれも批判をしないのが不思議に思います。
要はマスコミなんて自分の都合の良いことしか報道しないのです。景気が悪いと広告収入の減少に直結しますので、ハチャメチャなことをするのだろう、と想像しています。
名目と実質の違いはおわかりになると思いますが、日本の場合は今回、大々的に言われる「実質のGDPはマイナス予想」になりますが、反対の名目の前期比は大幅な円高ですので相当いいのです。日本人は実質GDPに注目をしますが、外国人は名目GDPドル建てに注目をするのです。
ただし、名目も実質も、日本は多少、成長していますので、年間を通じると良くなるというのは明らかになります。名目GDPは今回、爆発的によくなりますので、外国人の株買いや、円のポジションは大幅な買い越し、そして売り越しにこの発表以降なってくることでしょう。
つまり発表直後は日本人の株売り、円買いによって相場が大きな押し目をつける可能性はありますが、欧米タイムには入れば、逆に買い戻されるということを想定しているのです。
GDPの名目と実質の違いを知っているだけでこれだけの相場観が組み立てられるのです。そして、おそらく為替の専門家と称する人たちはこのGDPは大した影響がない、と言い切る人までもがいっぱいいるという事実を忘れてはなりません。
円安ババァはその筆頭で、金利差で本気でドル円相場が動いていると信じているのです。というよりも、素人すぎて、それしか判断材料をもっていないから、訳のわからないことばかりしか言えないのです。
あのババァの判断材料なんて、ど素人レベル、ということがみなさんも勉強していけばおわかりになるはずです。日本のFXで大きな問題は、本当の基礎の「基礎」を教えられる人がだれもいない、ということです。GDPの名目と実質なんて基本中の基本だと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)