読み込み中...FOMCの議事録には考えさせられる点が多く、この議事録をきちんと読んでいない専門家と称する人たちの意見には要注意です。
たとえば、雇用に対して、私のように統計結果の全体の数字をみている人間にとっては、雇用は強いとしか判断しようがないのですが、FOMC議事録によれば、雇用は一部の産業が強く全体を押し上げている、と記されているのです。
つまりハイテクや鉱業などに雇用に強い偏りがあり、その結果、賃金も押し上げられている。私を含めた、ほとんどのアナリストと称する人たちは全体の数字をみて強い、強いと騒いでいるだけであって、全体は強いような錯覚を起こすのですが、実態は一部の産業だけが強いということです。
ただ、これには疑問も多く、たとえば過去のドットコムバブルやサブプライム前の好景気でもけん引する業種が必ず存在し、それが全体を引っ張っていたのですから、このことに強い否定的な見解を言うのもおかしいと思います。
ただ、私としては、過去の偏り状況の具体的な数字がわからないので何ともいえない、という結論に至るだけです。ただ、全体は好調だけども、その好調さには偏りがある、ということに対しては気を付けるべきでしょう。
知らなくてもよいことを切り捨てる
たとえば、今朝、NYTがトランプ高官の話として、6/12のシンガポールの会談には時間、日程で余裕がなく現時点では、間に合わない、と声明というより、タレコミの電話があったことを報じているのですが、一方で、トランプはツイッターで十分に間に合う、となど言っています。
知っている方は知っていると思いますが、この政府高官というのはトランプのことで、昔から彼は、偽名などでマスコミにリーク情報を流すのです。
これが露見して吊るし上げを喰らったこともありますが、懲りない人です。ツイッターでは高官など存在をしないのに、出鱈目な報道だと言っているのです。
二重人格、そのものです。北朝鮮の問題の構図というのは、要するに北朝鮮が非核化をするか、しないかの問題で、最近の行動で、その非核化をしないとアメリカが判断をしたからキャンセルをしたのです。それだけの話です。
北朝鮮の要求は、在韓米軍の撤退が非核化の条件であって、アメリカはそれに応じるつもりは毛頭ないのは当然の話ですから、合意できる内容なんてある訳がないのです。
だからキャンセルをして当たり前なのです。しかし、話し合いが決裂をしたら、もうアメリカの選択肢は軍事攻撃しかないのですから、それはしたくない、というのが本音なのです。
だから、やっぱりシンガポールで会談するとか言い出すだけの話で、非核化もしないのに会談をするつもりがないだけです。北朝鮮は、単に、右往左往しているだけです。
要するに非核化なんてするつもりがないから南と会談して打開策を考えているだけです。何度も言う通り、この北朝鮮との交渉に北朝鮮の選択オプションなどなく、前から言うようにアメリカにしか選択権がないのです。
要するにNYTの政府高官というのをトランプということを知っている人は、そこで思考停止に陥ってしまうのです。その構図だけを読み解き、トランプはけしからん、と始まるのです。
でも、トランプがやっていることは北朝鮮に選択権を与えず、自分の主張を押し通していることは評価に値すると思うのです。知っていることの一部分で満足し、そこから思考が停止する人のことを、私は専門家と称する人たちと呼ぶのです。
まず客観的事実だけをとらえる
来週はISMや自動車販売、雇用統計、GDP改定値などになります。良いものは、メトロポリタン、フィラルデルフィアなどを受けてのISM、自動車販売はニュートラル、雇用統計は多少、悪化と考えることができるでしょう。
GDPはおそらく改善します。この数字は、コンセンサスをみないで、考えていることを書いているという理解でお願いします。好悪の材料が存在しますが、わからないときは分割すればいいのです。
経済指標は先行、一致、遅行と別れ、経済主体は企業、家計、政府になります。こうやって考えると、ISMは企業ですから好調、自動車販売、雇用統計は家計、GDPは全体になります。
企業が先行指標で、家計は遅行指数と考えれば、企業の先行が良いのだから家計の悪さは何れ改善されると考えればいいだけです。
つまり、先週の押し目はたぶん、消化されて来週は押し目の回復をすると考えればいいだけの話なのですが、そのことをロジカルに説明することができなくて、何を専門家というのでしょう？と私は思うのです。こんな説明する人、日本にいますか？いないと思いますよ。
世界でも極めて少数だと思います。でも、頭の悪い私でも理解できるのだから、みなさんも努力すれば理解できるようになると思います。
（この記事を書いた人：角野 實）
