フィラデルフィア連銀指数が大幅な低下を受けて、株価が急落をしています。このフィラデルフィア連銀指数が重要であることは何度も触れています。今回は、その影響と今後の展開を考えていきたいと思います。
フィラデルフィア連銀指数の重要性
アメリカの経済指標で重要なものは、GDP、でも、GDPは経済指標の王さまなのですから重要です。では経済主体からみて重要度を考えていきましょう。
消費者、家計部門では雇用統計でしょう。雇用がしっかりしていなければ、家計はお金を使うわけもなく、なぜなら失業して放蕩生活を送る人は少ないでしょう。倹約するはずです。
そのGDPの7割が個人消費なのですから、それが失業者だらけではGDPが伸びません。家計がお金を使えるのには、雇用が安定する必要があります。
企業の場合は、鉱工業生産指数。今回のフィラデルフィア連銀指数は景況感指数と呼びます。つまり企業の景気動向調査になります。この鉱工業生産指数の先行指数が景況感指数であり、要するにアンケート調査です。
この景況感指数の中で一番、トレンドに敏感なのがPMI指数と呼ばれています。PMIはアメリカにはないのですが、その代用はISM指数になるのです。そのISM指数の先行指数がフィラルデルフィア連銀指数やメトロポリタン指数になるのです。
今回のフィラデルフィア指数が悪いことが問題なのです。政府部門は、経常収支になります。これは国家の収支を表すものであり、これで赤字か黒字かがわかります。
経常収支が赤だからトランプさんが貿易のことで騒ぐのです。経常のもう一つの片割れである財政は、トランプさんが減税によって赤固定にしてしまったのですから、貿易を改善しようと躍起になっているだけの話なのです。
フィラデルフィアは、企業の景況感指数の中で、一番先行をするもので、この指数が悪いということは、鉱工業生産も悪くなりますし、また、雇用も悪くなるこが予想できるでしょう。
その結果、税収が減って経常収支も悪くなります。ファンダメンタルズがわからないという方は、こういった関連性がわからないから、わからないのです。
要するに自分でその経済指標の意味するところを理解していないから、フィラデルフィアが悪いと聞いても、何も連想できないのです。これから、何が起こるのかの想像がつかないのです。
フィラデルフィア指数
econodayより
大して悪くないじゃないか、と思う方もいると思います。
これはフィラデルフィア連銀が発表する、現状指数と期待指数。これは何を意味するか、といえば、現状が良いのはわかります。だけど期待と現状の乖離がリーマンショック時と同じくらい近づいてしまっていることが問題なのです。
要するに期待がもてないときに生産を増加させることはありますか?将来に亘って、期待が持てるのであれば生産を拡大させますが、期待もてないのだから生産など必要なものしか作りません。これで雇用やその賃金は伸びるわけがないでしょう。
リーマンのときには明らかに期待がもてない材料があるのですが、今回の場合は明確な理由がありません。貿易?去年から期待と現状指数の乖離は狭まっているのに、一部の理由に貿易はあるでしょうが、本質的な問題ではないでしょう。
これは企業の支払いと受け取りのチャートです。支払いは増加しているのに、受け取りは減っている。これで雇用や賃金が伸びるわけがないのです。
このままいけば企業業績はどうなりますか?それだけの話です。そしてフィラデルフィア連銀指数は、ISM指数の先行指数です。その6月の数字の発表は、7月の第一営業日と第三営業日です。
その結果も悪いことが予想されます。その結果で確定するということです。7月はこのフィラデルフィアで荒れると予想できますので、覚悟したほうがよろしいでしょう。みなさんで気づいている方は少ないと思いますが、これだけ根拠をもって、経済を説明できるブログなんてありませんからね。
このフィラデルフィアは先行きの予測を明確に表現して、こういう風に解釈できる人は、こんなことは絶対書きません。自分一人でポジションを取るだけです。
こんな解釈ができる人は、あなたの周囲に間違いなくいません。メディアの専門家でもアナリストでも。なぜなら、彼らは金融機関で行き場がないからアナリストをやっているのです。つまりリストラ要員なのです。
そいつらが言っていることなんか、信用できますか?稼げるのであれば営業やディーラーをやっていますよ。アナリストはお金が稼げる職業なのでしょうか?
(この記事を書いた人:角野 實)