先週末から、今月末にアメリカ金利が急騰するはず、と言っていたと思いますが、今回はその解説と影響を考えてみたいと思います。
アメリカ金利急騰の原因
だいぶ、前に解説をしたと思いますが、今月はアメリカ国債先物の納会月になります。今回のアメリカ国債の価格下落、金利上昇は原因はこれであり、そのほかの原因は存在しません。
さて、これだけだと全く理解できない人が多いと思いますので詳細に解説をしていきましょう。まず、FXは先物取引になりますが、この金融デリバティブの中でもかなりの派生商品になります。
すなわち、通常の先物取引の特徴には、期限の定めがあることと、そしてレバレッジが効いていることが先物取引と一般的に言われます。ところが、FXの場合は、期限の定めがなく、これを先物取引の中でもロールオーバー方式といいます。
つまり通常の先物取引には満期の取引日があるのですが、FXは一度、ポジションを保有すれば永遠にもつことができるというのがFXになります。
さて、この満期日というのは、何なのか、といえば、要するに現物取引に切り替えるか、ないしは差金決済で決済するかを選択するのです。今回のアメリカ国債先物のこの満期日、これを通常、納会と言いますが、が8/30だっただけの話です。
ほとんどの参加者は8/30に差金決済をして、次限月の乗り換え商いを行います。つまり、次の満期日のものに乗り換えるのです。この場合、国債価格は今まで上昇していたのですから、買い玉を手仕舞いすることによって価格は下がり、金利は上昇する。これがきのうまで起こっていたことです。
要するに、レバレッジの効いた先物取引で買い手仕舞いが価格の下げ圧力になり、本日から期近限月をまた買ってくるから、今後、価格は上昇し、金利は下がる可能性が高いのです。
それだけのことなのに、なんだか勘違いの解説をしている方が多く、そういう解説には騙されないようにお願いしたいものです。
この影響を考えると
まず、この影響で何が起こるかといえば、直接的な影響というのは、アメリカの金利上昇になります。これをアメリカ国内に限っていえば、この金利上昇というのは、アメリカの物価を上昇させます。
そして金利が上昇すれば、キャリー取引が激増し、その結果、ドル高が示現するだけの話です。この場合、金利上昇が良いものか、悪いものか、の判断をします。
今回の場合は、センチメントが景気拡大なのですから、この物価上昇は、景気を冷やす効果があります。そのほか、FRBのマネタリーベースオペは資金の回収に動くので、さらなるドル高を呼こみます。
つまり、今週からずっと株価が上昇していますが、この金利上昇が価格の下げ圧力になりますので、この株価上昇は要注意ということになります。
しかし、おそらく金利上昇はきのうでピークになりますので、本日、アメリカ株価が調整をしたことによって、金利上昇での調整は終わったのかもしれませんし、本日から崩落の可能性も捨てきれません。
また、トルコ、アルゼンチンなどの新興国通貨が急落をしていますが、これも当然のことであって、エルドアンが何かを言ったからとか、そういった理由で、新興国通貨が落ちたのではありません。
アメリカの金利が上昇したから、相対的に新興国通貨が売られただけの話です。ドル円は金利上昇によってキャリー取引が発生し、それが収束したから、円高になっただけの話です。
このように金利をみていれば、新興国の売りも簡単に予見でき、ドル円などはいつものパターンです。尾河はこの円安のピークで、金利差拡大のピークで円安といつも言うのです。つまり、すっ天井買いを推奨しているのです。
最近はようやく金利差拡大など言わないようになりましたが、相変わらず、高値買い、安値売りを推奨していますので、基本の考えは金利差の縮小、拡大なのだろうな、と思います。
来週のISMの数字で、2月は株価が急落したのですが、2月のときほど、株価は上昇していませんので、下がっても大したことないな、と思います。個人的な願望はもう少し、株価には上昇していただいて、↓に突き落としてくれるとありがたい、と思っています。
(この記事を書いた人:角野 實)