おはようございます。リーマンショックから10年ということで、各メディアがその検証を行っていますが、今回は私なりに検証をしてまいりたいと思います。そこから見えてくることは、現在の状況がバブルともいえると思いますし、また見えないかもしれません。
リーマンからのアメリカの成長率
上記はアメリカの経済成長率になります。2008年から、2017年まで経済は何倍になったかといえば、1.3倍になっています。つまり、これはGDPになりますが、1.3倍経済は成長しているのです。
あのどん底のリーマンショックからこれだけ立ち直るということはよく覚えてほしいと思います。当時、メディアが何を言っていたかといえば、世界の終わり、アメリカの終わりみたいなことを言っていたのです。
今回の北海道地震直後は停電と食料の供給ストップによって、みなさんもどうなるか、と感じたことでしょうが、2週間を経過した現在、みなさんおそらく大丈夫だろう、と思っていることでしょう。
リーマンショックは被害が甚大だったのですが、人間というのはどんな困難な状況でも生きながらえてきたから現在があるということを覚えてほしいと思います。
今後も、たくさんのあなたの人生にとっても、人類にとっても、困難な状況があると思いますが、必ず、人間社会、地球というのは立ち直るということです。立ちなおならない可能性もありますが、そのときはあなたも私も生きていませんから、安心してください。
生きている限り、マーケットもあなた自身も成長をするのです。だから、悲劇的な状況になったら蛮勇をもって買うのです。世間がなんと言おうとも。リーマンショックのときにどれだけの人が地球の滅亡だ、と騒いだことでしょう。
でも10年経過したら、過去のあなたや私の恥ずかしい失敗と同じ扱いをされていることを忘れてはなりません。
株価はどうなる?
株価は安値7000ドルまで売られましたが、現在は2万6000ドルまで上昇しています。
さすがに、7000ドルがやりすぎということを考えて、1万ドルから2.6万ドルまで買われました。国全体が1.3倍買われているのに、企業は2.6倍も買われてしまったのです。
つまり、この状況からいえば、株価は完全にバブルと言っても過言ではない訳です。要するに、国が1.3倍しか成長していないのだから、株価もその近辺までしか上昇しないだろうと考えるのが妥当だというのです。
では、経済学の経済三主体をも含めて考えていきましょう。経済学の経済三主体というのは、政府、企業、家計になります。今迄は、国全体と企業の比較をしましたので、残るは家計と政府になります。
これらも当分に、2.6程度上昇をしていれば、実態がないので、バブルと断言することができるでしょう。
政府、家計について
政府の債務は、2.3倍に増えています。
家計
上記は消費者物価指数になりますが、これは1.2倍になっています。これらからわかること国全体はリーマンショックから1.3倍成長をしていますので、ほかの政府、企業、家計も1.3倍程度成長をしていなければいけません。ところが株価は2.6倍になり、政府の借金が2.3倍、これは同じような成長を遂げています。
一方で家計は、1.2倍の成長で、国家の成長とほぼ、同じになります。つまり、今のアメリカの株価というのは国の債務と反比例して増価し、逆に家計は国の成長と同等に成長をしているということです。
この場合、考え方は2つであって、
① 株価が高すぎるという考え方
② 家計が今後も成長するから、もう少し様子をみようという考え方
に帰結になると思います。この①の考え方は、ある意味、バブルですよね。ただ、政務債務との整合性がありますので、株価はある意味、政府の債務が増えれば株価は上昇するという考え方もできます。
この政府債務の「成長≒株価」の増価の関係であるのであれば、来年に予定される法人税減税でまたアメリカの株価は上昇するということになります。
しかし、政府債務と株価がイコールの関係が崩れれば完全にバブルと言うことができます。今の時点ではバブルとは言えないと思います。
家計というのはいつも言うように、遅行指標になりますので、景気のピークに遅れて上昇するものです。つまり先月の消費者残高指数が過去最高であったのであれば、消費者残高は家計指標の中でも先行になりますので、今後、家計が盛り上がってきて、今後、株価並みに成長をするということになります。
ただし、家計の成長を物価で測っていますので、物価が上昇するということとイコールの関係であればインフレになります。インフレというのは、通貨安を招きますのでドル安になるということになります。
つまり株価が高すぎるという理論的な根拠はあまりなく、逆に家計の出遅れ感が目立っているというのが今のアメリカ経済になります。つまり、大きな流れでみれば、家計が伸びれば、ますますアメリカ経済は楽観できますでしょうが、短期的には株価が高すぎるとも見ることができると思います。ですから、現在の状況では株価が調整をしてもおかしくはない、という意見が出るのは妥当になります。
結果として、今のアメリカ経済は株価が調整するか、家計は大きく成長するかの状態にあると考えればいいのです。ポイントは株価が上昇する要件は、政府予算赤字の拡大家計が成長するということは、インフレ。インフレは通貨安を招き、ドル安になるということです。
つまり政府予算と物価を知れば、大きなドルの流れはわかるということになります。
(この記事を書いた人:角野 實)