読み込み中...おはようございます。中国の首相が記者会見にて、トランプ大統領に指摘された人民元安誘導について否定をしました。今回は、この点についての話をしていきたいと思います。
意外な会見
きのう中国首相が人民元安について否定的なことを発言しました。
この中国は意図的に人民元安を誘導していない、という発言は、意外な感じでもあり私はかねてから人民元安の誘導を意図的に行っているのではないか？とこちらのサイトに何度も書いていると思います。
この意味を考える
中国は、アメリカとの貿易戦争に対して人民元を切り下げているのではないか、ということを何度もここで書いています。
つまり、報復関税をかけることによって、中国国内物価を上昇させますが、この物価上昇を抑えるためには、報復関税の分、人民元安に誘導をすれば、結果として、為替の分、ディスカウントされることになります。
結果として、報復関税はその趣旨をもたなくなる、これが中国政府の実際にやっていることであって完全にアメリカに対して対抗をしていると考えているのが私の今までの私の考え方です。
これに対して、トランプ大統領は8/20以降にユーロや中国は為替を操作している、と発言しているということは言うまではありません。
では、人民元安はどうして起こったのか、と言えば、ファンダメンタルズからいえば、中国は景気下降期に入っており、人民元安はその流れの一環であることは確かになりますが、はたしてこの人民元の下落は、本当に実態に即しているものなのか、といえばかなりの疑問符になります。
ドルに対して人民元は、6月から8パーセント弱下落していますが、その比率で8パーセントも下落をしていません。くわえて、中国人民元は変動相場ではなく、実質的なドルペッグ相場になります。
つまりドルとの固定相場と言っても過言ではないのにたった、3か月の間に8パーセントも下落するのか、と言えば、甚だ疑問になります。
つまり、現時点で人民元安を誘導していないのは事実だけど、過去3か月にはその事実はあったかもしれない、という解釈も成り立ちます。
ともかく、この一連の人民元安は不思議なことが多すぎると思います。裏付けとしてユーロドルも同程度下落していることを勘案すれば、おそらくアメリカ主導でドル高に誘導をしたのであろうということは、筋が通ると思います。
しかし、ここでのポイントは、現在のドル円相場が、ドル高によってなされたものであり、その結果、円安になっている。その背景には人民元安も一因であることも考えることも妥当になります。
ただ、ユーロドルはドル安をだんだんと示現をしてきており、さらに今回、中国が意図的な人民元安を否定したことから、人民元安ドル高が修正される可能性があります。
要するにドル高が訂正される材料がそろったということです。何度も指摘をしていますが、アジア通貨や新興国通貨に対してはドル高に今までなっていたのですが、ユーロなどのヨーロッパ通貨にはドル安になっていたいびつな形が解ければ、相場の方向性が転換される可能性がドル円においてはある、ということです。
この背景について
この背景にはアメリカ債の需給バランスの崩れがあるということを年初から指摘をしています。
つまり、アメリカの法人税減税によって、その債券発行額が例年を上回り、増発されたことから債券売り金利上昇が続いたことから、中国が、アメリカ債券を売却すると脅したために結果的にドル高になった、ということも何度も解説をしていると思います。
では、中国首脳がいきなりなぜ、こんなことを発言したかといえば、トランプ大統領が為替相場や債券相場、貿易問題に文句をつける可能性が少なくなったから、と考えられます。
これは9/19に発表されたアメリカの経常収支になりますが、赤字が激減をしているのがわかると思います。つまり、今までトランプさんは、アメリカのお金が国外に流れることを安全保障の問題、と言ってけん制をしていたのですが、この経常収支がかなり減ったので文句を言う可能性がすくなくなっていることを踏まえての中国首相の発言だと思います。
中国としてはトランプさんの貿易赤字問題には、冷静に対応をしたのですが、その裏で人民元安を誘導したと思われます。なぜなら管理フロート制といっても実質的なドルペッグであればこのような急激な動きは、考えられないということです。
材料らしい材料もなく、このように急落するのはあまり考えられないからです。その人民元安を止めると言ったのは、経常収支をみれば、もうそれほど、文句は言ってこないだろうと思ったのでしょう。
おそらく、中国や日本のアメリカ債券買いによってその経常収支の中での投資収支が改善したことが一番の原因でしょう。要するにこの経常収支をみれば、貿易摩擦ももう佳境を迎えて、終息に向かっているとみるのが妥当なのかな、と現時点で考えています。
（この記事を書いた人：角野 實）
