おはようございます。ドイツの機会受注が悪いということできのうはユーロ売り一色になりました。今回は、そのやり玉にあがっているドイツ経済について考えていきたいと思います。
ドイツ機械受注
ドイツの機会受注2月前月比になりますが、過去1年間で最悪の数字になっています。
過去5年でみても、チャイナショックの2015年、2017年は何で悪化をしたのかはわりませんが、過去にみても悪い数字だということができます。
そして、この機械受注は、鉱工業生産の先行指標であり、鉱工業生産は、ドイツ経済の企業の業績に連動をします。すなわち、今後の鉱工業生産は低迷するということを意味します。
青が機械受注で折れ線が鉱工業生産になります。今回、青い線がマイナスの4.2になりますので、さらに鉱工業生産が下がることが推測されます。青い線と折れ線が相似であるという前提条件に於いてです。
では、この数字は2月の数字になりますので今後の鉱工業生産はどうなるのか、といえば、4/1に発表をされたドイツの製造業PMIになります。
過去5年のマークイット社の製造業PMIになりますが、一番右端が3月のPMIです。つまり、2月より低下をしていますのでさらに鉱工業生産や機械受注は悪くなるであろうと推測ができると思います。
PMIというのは経済指標の中でも最速の先行指標になりますので、まだ悪くなる可能性がある、と言いたいのです。しかし、さらに最速な経済指標があり、それは金利になります。
上記はドイツ国債10年物の利回りになります。ご覧の通り、3月末に金利は安値を更新してから反発をしています。いつもいうように底値立ち上がりを行って、2番底を確認したら本格的な上昇になる可能性がテクニカルは高いと思います。
この2番底の可能性というのは、確率にして70パーセントくらいですから、ドイツ経済は、もう一度、悪くなる可能性が高いですが、その間にこの金利、製造業PMIが立ち上がってくれば、おそらく、ドイツ株やユーロドルは安値で買うことができるでしょう。
過去にメルケルさんは女性の誉れなんて書き込みがあり、ユーロは買いだ、と言っていた方がいますが(その書き込みの主は誰かは想像がつきますが(笑))、やはり女性指導者になった国はロクな結果にはなっていません。
これが現状の見通しであり、きのうはユーロが安いと書き、そして一昨日は買いと書いた理由はこれから乱高下すると思う、ということです。
ただし、ユーロドルのもう一方の当事者アメリカはドル安継続になると思いますので、どこかで急騰をするでしょう。たとえば、ユーロが崩壊する可能性は高いと思いますが、現時点ではそのリスクシナリオを描くような材料はありません。
すなわち、最悪のときに買えば、いいじゃん、ということだけです。特にドイツ株を私は推奨をしますね。ユーロドルは1.4までいくという夢想は現時点でありませんので(笑)。
ドイツ経済弱体の原因
実は、ドイツの消費者は、ここのところかなり好調になります。しかし企業は最悪の状態になります。ただ、企業の収益が最悪なのであれば、そのうち、消費者のお給料も減るという現象になり、結局、全体が低迷をするという帰結になる可能性が高いと思います。
今後、メルケルさんの与党が総選挙になり、その与党を維持できるかが焦点になります。ただ、メルケルさんは引退を表明しており、現在の政権はすでにレームダック化をしています。
ごめんなさい、私はどこの国の政党名なんぞ覚えませんので、いつも気づいている方は気づいていると思いますが、こういう政党名とか、個人名を忘れたことを隠すように文章を書いていますので、文章がおかしくなります(笑)
つまり引退する首相の発言など誰も相手もしなくなっている状況なのに、所得税減税を4月から実施したメルケル首相の手腕はさすがだな、と思わざるを得ません。
すなわち、今後、消費者サイドの悪化が予測される中で、いち早く、減税を実施したのは、メルケルさん以外ができないことだと思います。この企業不振の中で、消費者まで悪くなったらドイツ経済は最悪ですが、それを食い止める政策であれば悪くはない、と思います。
またドイツやユーロ圏というのは基本的には自給自足の国で、輸出入は、ほぼEU内で賄っています。ドイツの輸出の67パーセントはヨーロッパ諸国であり、そのほか、アメリカ12パーセント、アジアが18パーセントです。アメリカの経済圏が世界一なのに、ヨーロッパのほうが劇的に多いのをみてもヨーロッパは自給自足なのは自明です。
その中で、ユーロ圏内で輸出が大幅に超過をしているのがドイツで、ドイツ経済は輸出次第なのです。そのメインの国々は、中国、アメリカ、ヨーロッパであり、その国々は近年、不振な国ばかりですので、輸出が大幅に減ったのは、大きな痛手になると思います。
とくに、2月は中国の春節の時期にあたり、例年だと春節明けに備え、中国向け輸出は増えるのですが今年は伸びが悪かったのです。3月のPMI低迷を考えると原因はよくわかりません。ただ、言えることは世界経済回復に伴い、ドイツの輸出もカバーしてくるでしょう。
(この記事を書いた人:角野 實)