おはようございます。きのうアメリカの消費者物価指数(CPI、インフレ指数)が発表されました。この数字をみて強いなと感じたのは言うまでもありません。加えて、世界経済全体を俯瞰してみたいと思います。
アメリカ消費者物価指数
上記はアメリカの消費者物価指数になります。きのう発表された消費者物価指数、前年比は1月、2月と比べて強くなっているのはわかります。
そこできのうのトルコの話を思いだしてほしいのですが、去年の1月、2月は2.1、2.2で2018年1年を通して強い数字ではないのに、2019/1-2月は極めて弱い数字であるということが言えます。
3月も2.4という数字は、決して強くないけれども、18/3月の2.4の数字に対してきのうの数字、1.9は良い数字だと思います。こう思う根拠は、物価、とくに消費者物価指数は半年遅れで反映をされ、3月の半年前というと18/9月になります。
18/9月のドル円やドルはどうだったのか?と言えば、去年の10月に金融相場全体の調整が始まったことから去年の9月は最後の一吹きをやっている最中です。
すなわち、激烈なドル高になっているので、当然、アメリカの輸入物価は下がります。その影響をモロに受けるのは3月、きのう発表された数字です。
当然、弱い数字が出てくることが予測されますが、予想に反して強い数字です。この要因は、消費者の購買意欲が強く、物価がドルに左右された訳ではなく、商品の需給によって物価が上昇したということになります。結果として、アメリカ経済が強い、ということになります。
世界経済について
まず、ユーロのダメっぷり、特にドイツのダメさ加減が目につきます。要するにユーロ圏内は以前もご説明をしたように域内貿易によってその輸出入を行っています。
その中でドイツはユーロに輸出してもまた生産能力が余剰しますので、その余剰した分を中国、アメリカ、イギリスなどに輸出しているのです。その余剰輸出分がもれなく、上記3か国に対しての輸出がもれなくマイナスになるのです。
だから、結果的にドイツ経済が明らかに減速をしているのです。この兆候は去年の11月にははっきりと認識され、結果としてトランプさんが金利を下げろ、ドルをあまり高くするのではない、という発言につながったのです。
トランプさんとメルケルさんは一般的には仲が良くない、とされていますが、このような援助をしてもメルケルさんが偉そうにトランプさんに説教をするのですからトランプさんが面白いはずがありません。
要するに、ドイツ経済をみんなで助けているのに、近年のドイツ経済の好調さから鼻高々になったメルケルさんのトランプさんに対する小生意気な態度をトランプさんは許せないでしょう。
なるべくしてなった結果です。では、全体で俯瞰してみればドイツはユーロを含めて世界5位の経済国になります。この5位の国の経済が実際にリセッションと言ってよい状況でしょうが、世界経済からみれば悪化をします。
とくに、オセアニアと欧州はつながりが強いので影響は甚大になります。では、国際会議ではどういうことが起こるかといえば、ユーロを安く誘導しようという方向性に傾くのですが欧州の首脳は相次ぐ、選挙での与党の敗退、デモやテロになるので、通貨を安くすると余計に選挙敗退、デモ、テロが相次ぎます。
なぜなら、物価が上昇をして食えない人が増えるからです。結果としてドラギさんは緩和の停止という方向で通貨高を選択しましたが、結果として好調だった工業までもが不調になったのです。
で、方向性をユーロ高からユーロ安に修正をしただけの話です。このまま通貨安を続ければ、また工業は元に戻るでしょうが、選挙の敗退、デモ、テロは激化するということになる、ということです。
去年の年末、私がユーロ高と言ったのが曲がったのはこういう背景があるのです。ごめんなさい。つまり、ドル円においては、ユーロ安も規定路線、ドル安も規定路線なのに国内は円安という声が大きい訳です。
三極通貨がこういう状態になるのは考えられますか? ということです。ユーロとドル安路線は規定だったら、渋々、円は円高にならざるを得ない状況です。
その一方で、新興国は先進国の通貨が軒並み安いのですから、輸出が伸び、その結果として経済が発展をするはずなのですが、トルコやオセアニアを筆頭にリセッションの嵐になる訳です。
これで、世界経済が強い訳がありません。そもそも冒頭に出したアメリカのCPIの春から夏にかけての数字が去年は強い、この数字を凌駕するような数字が出れば、アメリカ経済は絶対的に強いと言えますが、現時点でこの数字を超える可能性は大きくない訳です。
つまりアメリカ経済が強いといっても去年を凌駕するような強さではなく、そこそこの強さということです。マーケットは前年に比べて、成立するものですから、今のドル安は実態に即しているということです。
で、なんで、円安なのか私にはさっぱり理解ができないということです。言えることは、これだけ先進国が弱いのであれば相対的に新興国が上がってくるはずなのです。でも、上がってこない。それは世界全体が景気が悪いということがロジカルに説明できることになるのです。
(この記事を書いた人:角野 實)