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このページをご覧になっている方は、XMで法人口座を開設したいと思ってここへたどり着いたと思います。最初にお伝えしておきます。誠に残念ですが、2021年現在、XMで法人口座を開設することはできません。
法人口座開設の情報が必要な理由はなんでしょうか?税金を安くしたいからではないでしょうか。
はたして「海外FX業者で法人口座を作る」ことだけが、税金を安くできる方法なのでしょうか。また多くのFXトレーダーの方が、なんとなく「国内のFX業者よりも海外のFX業者の方が、税金が高くなるらしい」と認識していると思います。しかし、実際には、海外FX業者の方が税金が安くなることもあります。
そして、法人化を考えたほうがよい利益のボーダーラインについても、正確に知らない方は多いと思います。この記事を読むことで、海外FX業者の法人口座を作った方がいいのか、作らなくてもいいのかを、ご自身の利益額や税金面の生活環境と照らし合わせて、明確に知ることができます。
なお、今回の記事を執筆するにあたっては、税金の専門家である山野淳一税理士事務所にご監修いただきました。後半には具体的に4つのケースの税金シミュレーションもしています。信頼性のある情報として、ぜひお役立てください!
【2021年最新】XM法人口座開設はできない(泣)
2021年現在、XMで法人口座を開設することはできません。XMの公式ページにも下記の記載があります。
https://www.xmtrading.com/jp/faq
以前はXMでも法人口座を開設できたのに…
しかし過去には、日本国内の法人(日本で会社設立している方)は、XMで法人口座を作ることができました。ちなみに、XMで法人口座開設ができなくなるまでは以下のような流れでした。
・XM進出初期の頃:日本法人、外国法人(例えば香港など)いずれも法人口座開設可能
・2017年頃:日本法人では法人口座の開設ができなくなった。外国法人なら可能
・2019年頃:日本法人、外国法人にかかわらず、XMの法人口座開設はできない
私の知る限り、海外FX業者で法人口座開設ができないのはXMのみです。他の主要な海外FX業者は、どこも法人口座開設ができます。XMが法人口座の取り扱いを止めた理由は公開されていませんが、顧客のターゲットを個人に絞って経営しているから、などでしょうかね。
なぜFXトレーダーは法人口座を作りたがるのか?
FXを始めると、皆一度は必ず、それも比較的初期から法人口座開設に興味を持ち始めます。これはなぜなのでしょう?それは、「せっかく儲かったお金、そこから税金としてごっそり国に取られてしまうことを防ぎたい」からですね!
また、ネット上の情報が、「FXの節税 = 法人口座開設」と偏ってしまっていることも大きな理由です。しかしある意味この考え方は短絡的であり、全面的に正しいとは言えません。
このサイトで正しい情報をお伝えしていきたいと思います。
個人から法人に変えたくなるきっかけとは
現実問題として、FXの利益の金額が大きくなってくると、「累進課税」で適用される税金の金額は、支払いたくないぐらい大きくなってきます。累進課税は、所得(利益)が多ければ多いほどたくさん課税される仕組みで、最大55%も持って行かれるのです。
個人でのトレードから法人化に変更、1人で会社設立をしてFX取引の利益を会社の売上にすれば、個人が同じ利益を上げたときよりも税金が安くなる、との情報は、間違いというわけではありません。しかし、利益額やご自身の税金面での生活環境によっては、法人口座開設することで必ず税金を安くできるとは、限らないのです。
後半でご紹介する具体的なシミュレーションをぜひ参考にしていただければと思います。
会社設立→法人口座開設まで本当に必要? 来年も勝ち続けられますか?
「累進課税」で困ることになるのは、安定して毎年大きく利益を上げられるようになった方だけです。運よく短期間で一時的に儲かっただけの方は、会社設立までするメリットは、ほとんどありません。
なお、法人口座を開設する前には、会社設立が必要です。会社勤めの方は「会社設立」「法人化」と聞くと難しいイメージがあると思いますが、実際、会社を興すにあたっては、知っておくべきことがたくさんあり、さまざまな手続きの手間も、そしてお金もかかります。
「それでも会社設立するのか?」の判断のひとつの目安として「来年も勝ち続けていられるのか?」を考えてみてください。もしかしたら来年の今ごろは、利益はマイナスかもしれませんよね。それでも法人としての責任と義務はしっかりと継続します。支払わなければならない税金は、かえって増える可能性もあるのです。
会社設立するのは大変。それならずっと個人口座のままでもいいのか?
このサイトをご覧になっているほとんどの方は、現在は個人名義の口座で取引し、個人の利益として確定申告して税金を支払っていると思います。利益は数十万~数百万円ぐらい、これを個人名義の確定申告書で「雑所得」として申告している間は、取引口座も「個人」名義で問題ありません。
「個人口座のままだと、税金が増える」ことについては多分、理不尽だと思っているから支払いたくない、これは問題だと思ってしまうのですよね。
そもそもその税金は理不尽な金額なのか?正しい知識を得てみる
「いくらのもうけまでは税率がいくら」を正しく知れば、理不尽との認識は薄れるきっかけになるかもしれません。「儲かっていることは事実なのだから、この程度納税することは義務、これは社会貢献や人助けになっているのだ。」と考えられる助けにもなると思います。
「国内FX業者は税金が安い、海外FX業者は高い」という誤った認識も、この機会に変えられることになるとよいですね。例えば「海外FXで300万円の利益」も、他に収入があるかどうかで税金の金額はかなり異なり、専業トレーダーなら海外FX業者の方が税金が安くなる、といったこともあるのです。
この件については、以下の記事が参考になると思いますので、あとでぜひ読んでみてください。→ https://kaigaifx.jp/xm_zeikin/
XM個人口座で取引して、会社の利益にするのはNG?
もし、個人口座で「税金が安くなる」メリットだけを受けられるなら、わざわざ法人口座を作る必要はないですよね。一度でもFXの損益を確定申告したことがある方はご存知と思いますが、税務署には、利用している口座の種類(個人口座か法人口座か)の報告義務はありません。
「だったらXMの個人口座をそのまま使い続けて、会社設立だけするのでも、会社の利益として税金を安くすることができるのでは?」と思った方もいると思います。
この疑問を、税理士に「個人名義で取引を行った海外FXの利益を、会社の売上にしてもよいのか?」と確認してみたところ、「限りなくブラック寄りのグレー」との回答でした。
この行為自体はいろいろな解釈ができる(そうする目的は人によって千差万別)ため、OKかどうかの判断は税務署の担当者次第ということになります。
しかし例えば「本来『累進課税』で5000万円納税するべき大きな利益を得ている人なのに、節税目的で無理やり法人の税制を適用させて、3300万円しか納税していない」などと判断された場合は「ブラック」です。悪質行為とされて追徴課税される恐れがあるのです。
やはり、会社の利益としてFXの節税をしたいのなら、まっとうな方法は「法人口座で運用したものだけを会社の利益とする」ことなのです。
XMの個人口座を法人に貸す形で運用できないか?
XMの個人口座を、自己判断で「法人口座」として利用する方法は、実は全くないわけではありません。
税務署から税務調査が入った際に、ご自身で「これは法人でしか利用していない口座である」ことを証明できて、税務署に納得してもらうことができればよいのです。しかし、第一に口座名義が個人名ですから、この時点で既にかなり難しい現実があります。
確実性がないことになりますので、おすすめはできないことになりますね。こんなところに労力を割くよりは、別の海外FX業者で法人口座を開設したほうが、はるかに簡単でしょう。
XM個人口座と法人口座の税金の違い
個人口座で運用した場合と、会社設立して法人口座で運用した場合の違いはどんなことなのか知りたいですよね。
法人口座には、確定申告をする際に以下のようなメリットがあります。
・損益通算ができる
損益通算とは、FXの損益と、別の方法で得た収入とを合算することです。個人事業主の場合、損益通算ができるのは、国内FX業者を利用したときだけです。また給与所得者の場合は、海外FX取引の損は損益通算できますが、損が多かった場合のマイナスを翌年へ繰り越すことはできません。
海外FX取引を法人口座で行い、会社の売上とした場合は、他の事業での収入と損益通算ができるようになります。
・損失の繰り越しが最大9年間できる
FX取引で出た損は、個人のトレーダーで海外FX業者を利用した場合、翌年に繰り越して利益と相殺することは一切できません。(国内FX業者を利用した場合に限り「3年間」は繰り越せます。)
法人口座で取引した場合は、最大9年間、損失の繰り越しが認められています。前年が大きく損が出て今年は大きく利益が出た場合、前年度の損の金額を利益から差し引くことで、今年の節税ができるのです。
・給与所得者も、利益額によっては税金が安くなる
会社に勤めていて給与がある方が、副業の海外FX取引での利益も大きく出た場合、会社設立すると利益額によっては税金が安くなることがあります。実際に安くなるかどうかの条件はさまざまありますので、この後の説明や、後半のシミュレーションも見てみてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
・会社設立した場合、個人とは異なる税金とはどんなもの?
個人が支払う所得税は上記の表のとおりですが、会社設立した場合に支払う「法人税」は、資本金1億円以下の会社であれば、年800万円以下の利益は15%、800万円を超える部分は一律23.2%の税率となります。
一概に比較はできませんが、個人の専業トレーダーで330万円以上の利益が出れば330万円以上の部分には20%課税されますから、法人の15%との金額差は大きいのではないでしょうか。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
例えば、会社員の副業トレーダーの方で、毎年XMで安定して600万円以上の利益を得られる方なら、(会社の給与の金額によって異なることにはなりますが)会社設立したほうが税金は安くなる可能性が高いです。
・含み損のポジションを決算期に計上できる ただし含み益のポジションも課税対象
個人の場合、決済して損益が確定したポジションのみが課税対象となりますが、法人の場合は含み損のポジションをその時点の金額で決算期に計上することができます。
これも節税になりますね。ただし含み益のポジションも課税対象となりますので、あまり大きな節税にはならないかもしれません…。
・経費に計上できるものの幅が広がる
経費を計上できるということは、その金額分利益から差し引けることになりますから、結果として節税になります。
個人のFXトレーダーが経費に計上できるものといえば、パソコンやインターネット接続の通信費の一部、程度になりますが、法人トレーダーになると、家族を役員や従業員にして、支払った給与を経費に計上する、といったこともできます。これだけでも大幅に節税できることになりますね。
・法人化したときのデメリットはどんなことか
会社設立したときのデメリットは、最初の会社立ち上げのときの手続きがやや難しいこと、また毎年の決算の手続きもしっかり行わなければなりません。一人だとしても社会保険の加入も必要です。国の指導は年々厳しくなっていますので、ご注意ください。
さらに、赤字(利益がマイナス)になった年にも、税金の支払いは発生します。これについては、次のシミュレーションの中で詳しく説明しましょう。
【税理士監修】XM個人口座、XM法人口座の税金をシュミレーションしてみた
税金の計算はとても複雑です。素人の私が間違った情報を発信してしまっては大変だと思いましたので、今回は税理士の先生の力をお借りしました。
ご協力いただいたのは、千葉県船橋市で税理士として活動している「山野淳一税理士事務所」様です。http://yamano-tax.jp/
会社の給与がある副業トレーダーの場合、専業トレーダーの場合、専業主婦トレーダーの場合、と4つのケースで、「個人口座」と「法人口座」の税額の違いを計算していただきました。税額のシミュレーションは、以下の条件を前提としています。
個人口座:(給与がある方は現在の職場に勤務しつつ)個人口座で海外FX取引を行う
法人口座:(給与がある方は現在の職場に勤務しつつ)法人設立をして法人口座で海外FX取引を行う
なお、個人口座、法人口座運用の経費については、今回の計算には含めていません。
また、表では「XMでの年間利益」としていますが、XMでは法人口座開設ができませんので、「XM」の部分は「海外FX」と置き換えてお読みください。
年間給与所得とXMの年間利益が、ご自分の状況と近い欄を重点的に確認していただければと思います。赤字の欄が、個人口座と法人口座を比べて「税金が安く済む方」になります。
最初は、独身のサラリーマンのケースです
年間給与所得200万円、XMでの年間利益50万円のときの法人税は「182,200円」、これはかなり高く感じると思います。
これほど高い理由は、法人税には利益があるかどうかに関係なくかかる税金「法人住民税」があるためです。資本金1000万円以下で従業員が50人以下の会社の場合、通常、年額7万円かかります。これは赤字の年でも必ずかかります。
XMでの年間利益が300万円以上になると、給与所得400万円以上で法人口座のほうが税金が安くなりますが、税額的には個人口座とそれほどの差はありません。
なお、法人化すると、個人のときにはかからなかった費用がさまざま発生します。税理士報酬などもその一つで、それらまで考慮すると10万円から20万円くらいの税額の差では、法人口座の方がマイナスになる可能性があります。この点も注意が必要です。
給与所得の金額にかかわらず、600万円を超える利益がある場合は、法人口座の方が税金は安くなっています。
続いて、既婚サラリーマンのケースです
妻と子、扶養家族が2人いる場合のケースです。扶養家族がいるため扶養控除が適用されて、独身サラリーマン比較すると税金が安くなります。
結果は、既婚サラリーマンの場合も、FXの年間利益「600万円」が一つの目安となりそうです。
皆が夢見る「FX専業トレーダー」はどうでしょう
1000万円の利益までは個人口座のほうが税金が安く、2000万円の利益でも、税額の差は55万円、と意外に差は広くない結果となりました。しかし5000万円の利益になると、さすがに相当な差がありますね。
2000万円の利益を何年も継続して上げられるトレーダーは、それほど多くないと思います。
「海外FXの税金は高い」というイメージが先行していますが、専業トレーダーであれば、ほとんどの方が「法人口座開設は必要ない、個人口座で運用するのでOK」との結論が出ました。これは意外な結果ではないでしょうか!
最後に専業主婦トレーダーのケースです
「FX専業トレーダー」と「専業主婦」は、どちらも「扶養家族なし」で、税金計算方法としては同じです。ですから結果も同じです。
こちらも、主婦トレーダーとして会社設立を考えるのは、まずは2000万円の利益を継続して出せるようになってからでよさそうですね。
法人口座が開設できて、おすすめの海外FX業者を4社紹介
まとめ
XMでは、法人口座の開設ができません。これは残念なことかもしれませんが、改めて、法人口座は本当に必要なのかどうかを考えてみる機会になり、なにを目安に判断すればよいのかも明確に知ることができたと思います。
・XMは法人口座開設ができないけれど、他の海外FX業者なら可能
・法人口座を開設したいなら、会社設立するのがまず先
・会社設立には手間もお金もかかる。利益の有無にかかわらず毎年、責任と義務も発生する
・単純に法人口座開設したとしても、最低でも600万円利益を上げなければFXの税金は「安くならない」トレーダーがほとんど
ご紹介した「税金シミュレーション」がお役に立てば幸いです。今回のシミュレーションで確認・検討した結果、もし法人口座を開設したほうがよい、となったのであれば、当サイトで紹介しているAxiory、Titanfx、gemforex、Tradeviewの「4社」がおすすめできます。ぜひこの中から選んでみてください。