おはようございます。きのうは米中貿易交渉の楽観的な見通しを解説しました。しかし、現状では悲観的にならざるを得ないような状況になります。
制裁関税の実施はほぼ確定?
ライトハイザー通商代表がコメントをしたのにも関わらず、月曜日にマーケットが反応をしなかったのには私は疑問を呈しています。
これは、トランプ大統領自身だけのアイディアだけではなく、アメリカ政府の考え方を示していることになり、アメリカはひいてはこの制裁関税を実施するという意向になるのです。
しかし、マーケットは反応をしなかったのでこれを実施するか否かは不透明ということだったのです。しかし、オフィシャルな記録として公示されましたので10日から関税をかけることがきのうのNYダウの急落、ドル円の急落につながったのです。
この制裁関税の解除は、アメリカ当局は、その通商交渉でその実施を確認してからの制裁関税の解除をすると明言しているのに対して、中国は即時の撤回を求めています。
これまでの中国側の態度から即時にこの制裁をアメリカが解除するとは到底思えない、というような状況になっています。結果として、この制裁関税は相当期間に亘り続くであろう、というのが私の個人的な見方です。
なお、今回の交渉過程においても中国が、一度合意した議案をひっくり返すということが起こっており、結果として、アメリカの態度はより強硬になると思われます。
つまり、当面の間、ドル実効為替レートの上昇などは見込めないということになり、ドル安傾向は続くということです。わからないことは、トランプが5/1を交渉期限としたその合理的な理由、中国側が6/1を交渉期限としたその理由がよくわからないことです。
トランプの交渉期限と言うのは間違いなく選挙を横にらみにしたものになると推測されますが、中国側の6/1はおそらく国内事情によるものだと思いますが、推測にしかすぎません。
この結果、米中首脳会談の実施は宙ぶらりんになると思います。ただし、日韓関係のように、事務方の交渉さえも途絶えているという訳ではありませんので、隠密裏に交渉は続くというのが救いでしょう。
この結果を受けてのテクニカル
いつものようにドル円4時間足に単純移動平均10.30を乗っけたものになります。30が黄色、10が白色になります。4/22前後に頭を打ったドル円になりますが、10と30のデッドは4/18前後に起こっています。
このときのクロスは10.30双方ともに下方向を向いているのでこれは円高になるであろう可能性は極めて高いことになります。すなわち、4/22前後の上髭は叩かなければいけないことになります。
そして、このデッドクロスが起こって、再び、ゴールデンクロスになるときが買いになるのはみなさんも学習していることでしょう。
しかし、ダウントレンドが発生をしたときに、このゴールデンクロスになるかもしれないという騙しが3回、いつも出現をするよ、と以前に解説をしています。
今回の場合は、4/25と5/2に10と30が接近している場面が2回あります。ただし、このゴールデンクロスは、短期、長期線ともに下を向いていますのでなんちゃってゴールデンクロスということに注意です。
今回、3回目のなんちゃってゴールデンクロスの下向きの方向性が現在、確定しているのですが、これはたいていの場合、3回までなのですから、この安値近辺は買わなければいけないということです。
ここで、参考になるのは、月曜の寄り新値になります。月曜日の7時の寄りは110.69円くらいになります。ここから追証計算をすることが大事なのです。この場合の追証というのはだいたい、0.5パーセントだということもかなり前に解説をしています。
110.69の0.5パーセントは約0.55円になりますので、「110.69円-0.55円=110.14円」この110.14円が一度目の買いの対象時期になるということです。
これが破られたら、どうなるか、ということを皆さん自身が考える課題になります。ここまでロジカルに説明しているサイトはほかにはないと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)