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XMで取引を行っているとき、「なぜか急にいつものlot数ではエントリーができなくなってしまった。少ないlot数にすればエントリーできるんだけど…」という経験をしたことはありませんか?
これはおそらく、XMによる「レバレッジ規制」が原因です。この記事を読むことにより、XMでレバレッジ規制が起こる3つの原因を理解し、事前に対策を行うことや、起こったあとの対処方法を知ることができます。
なお、レバレッジ規制の原因3つのうちの1つに「各国の選挙やイベント時」というものがありますが、この記事では、過去4年間でレバレッジ規制された世界中のイベント12の具体例も紹介しています。これを見れば将来、レバレッジ規制されるケースを自ら予測できるようにもなりますよ!
XMは何のためにレバレッジ規制を行うのか!?
888倍の高いレバレッジでダイナミックなトレードができると評判のXM。そんなXMも、様々な理由でレバレッジを低く規制することがあります。
その最も大きな理由は「利用者保護」です。ダイナミックなトレードとは、資金を大きく増やせる反面、思惑と逆の結果になった場合は大きな損失を被ることになることもあります。このため、ハイリスクなトレードを行うことを制限する目的で、レバレッジ規制を行うのです。
また同時に、XM自社のリスクを回避する目的もあります。XMでは「ゼロカットシステム」と呼ばれる、トレーダーの損失が口座残高よりもマイナスになった際に、ゼロにリセットするサービスを行っています。
この仕組みについて詳しくは公開されていませんが、顧客が作ったマイナス分はXMが負担しているとの噂もあります。
そうだとするとXMとしては、顧客のマイナス金額が甚大になっては困ります。XMは、通常よりもリスクが増大した状態の顧客が、できるだけハイレバレッジの大口ポジションを保有しないよう、レバレッジ規制をするのです。
XMは「レバレッジ最大888倍」を売りにしてはいますが、口座残残高が2万ドルを超えていればレバレッジは200倍まで、さらに10万ドルを超えたら100倍まで、と制限することにしています。これもトレード資金を多く保有する方に、ハイリスクな大口ポジションを立てないようにしてもらうためです。
XMでレバレッジ規制が起こる3つの原因
XMでレバレッジ規制が起こるのは、主に以下のケースです。
1.口座残高の増加による制限
2.各国の重要な選挙やイベント時の制限
3.各種通貨ペアごとによる制限
それではひとつずつ、詳しく解説していきます。
1.口座残高の増加によるレバレッジ規制
XMには3種類の口座タイプがあります。以下の図のようにXM公式サイトの口座の説明にもあるのですが、口座残高の金額によってレバレッジが規制されます。
■マイクロ口座
1倍~888倍 (口座残高 $5~$20,000相当のとき)
1倍~200倍 (口座残高 $20,001 – $100,000相当のとき)
1倍~100倍 (口座残高 $100,001相当以上のとき)
■スタンダード口座
1倍~888倍 (口座残高 $5~$20,000相当のとき)
1倍~200倍 (口座残高 $20,001 – $100,000相当のとき)
1倍~100倍 (口座残高 $100,001相当以上のとき)
■XMTrading Zero口座
1倍~500倍 (口座残高 $100~$20,000相当のとき)
1倍~200倍 (口座残高 $20,001 – $100,000相当のとき)
1倍~100倍 (口座残高 $100,001相当以上のとき)
なおこれは、口座開設後に入金する金額だけの話ではありません。
トレードをして口座残高が少しずつ増えて2万ドルを超えたときにも、以下のような通知がEメールで届き、レバレッジを下げられることになります。
実際に規制されたこのとき、どうだったかというと、正直特に困りはしませんでした。ここまで増やせたのは、実効レバレッジを100倍程度に低く抑えた安全なトレードをずっと行っていた結果だったためです。
しかし、次の取引チャンスに備えるためには、できるだけ早めに888倍に戻したほうがよいと感じました。
レバレッジ規制されたあと、888倍に戻すには
口座残高(複数口座開設している場合は、すべての口座のトータル残高)が2万ドル以下になるように調整(出金手続き)を行います。その後、XMサポート宛てに以下のような、規制の解除をお願いする内容のメールを送ります。
口座残高が200万円を下回りましたので、レバレッジ制限の解除をお願いいたします。
XMサポートからは、以下のような返信があります。
会員ページへログインしていただき、「マイアカウントの概要」で、該当口座番号のところにある「アクション」をクリックして表示される一覧より「レバレッジの変更」をお選びのうえ、お手続きを進めてください。レバレッジ変更は随時適用されます。
XM公式サイトの会員ページからレバレッジ変更操作ができるとありますので、会員ページにアクセスします。
XM公式サイトの会員ページ「マイアカウントの概要」から「オプションを選択する」をクリックし「レバレッジ変更」を選択します。
選択できるレバレッジの一覧が表示されます(現在選択中のレバレッジは表示されません)ので、希望のものを選び「リクエスト送信」をクリックします。
この会員ページからのレバレッジ変更は、即座に適用されます。
レバレッジ規制に遭いたくないなら、資金を出金する
上記の解説のとおり、あとから規制の解除はできるとしても、そもそもレバレッジ規制に遭いたくないという方もいるでしょう。
その場合は、ご自分で口座残高がどれぐらいあるのかを常に把握しておく必要があります。そもそも、口座資金管理はトレーダー各自の義務ですよね。
2万ドルを超える前に残高の一部を出金すれば、XMによる強制的なレバレッジ規制を回避することができます。
XMではレバレッジ888倍の運用を最初から想定していない!?
■「強制ロスカット」については、ご存知ですよね
「強制ロスカット」とは、運用中のポジションの含み損が膨らみ、口座の「有効証拠金」の金額が少なくなり、「証拠金維持率」が20%を切ったところで、システムにより自動的にポジションが決済されてしまうことです。
国内FX業者の場合は、「顧客の資金を最低限温存する目的」として100%や80%など、もっと高い証拠金維持率で強制ロスカットされますが、XMは20%です。
(これには賛否両論あります。XMの「20%」をメリットと考えると、強制ロスカットされる前に値が反対方向に動き始めて、ポジションが持ち直す可能性は、国内FX業者よりもXMのほうがはるかに高いことになります。)
いずれにしても、強制ロスカットに遭うと、口座資金を大幅に失ってしまうことになります。次のポジションを立てることさえ難しくなるでしょう。
本来であれば、自動的に切られる前に、次のトレード資金に影響が出ない範囲内で、自ら決めたルールで、損切りができるようになったほうがよいことは、言うまでもありません。
ハイレバレッジでの運用は、強制ロスカットの可能性が高まる
さて、下記の表は、口座残高(MT4の用語で表すと「有効証拠金」)を200万円として、ドル円1ドル100円のときにポジションを立てた場合を想定した、各実効レバレッジ別の強制ロスカットまでのpips数を示したものです。
実効レバレッジ25倍でポジションを運用(5lot保有)すると、ロスカットまで320pipsもの余裕があります。しかし同じ条件でレバレッジ250倍の運用(50lot保有)をすると、32pipsの含み損が発生しただけで、ポジションが強制ロスカットされてしまいます。
ハイレバレッジでの運用は、大きな利益を得られる可能性もある反面、少ない値動きで大きな損失を被る可能性も紙一重であることを、改めて認識していただけたら幸いです。
XMの「最大ロット数」もハイレバレッジ取引の制限が目的
さらに上記の表の「250倍」欄の赤文字に注目してみてください。XMでの取引1回あたりの最大Lot数は「50Lot」と決められていますが、実効レバレッジ250倍でこの最大ロット数に到達してしまっていますね。これでは、「888倍」の運用など、そもそもできないことになります。
XMにもし、「口座残高2万ドルを超えたらレバレッジを200倍に下げる」規制がなかったと仮定しても、口座残高が200万円もある方は、250倍以上の高いレバレッジはかけられないことになります。また同様の計算で、口座残高が100万円の場合で50lot保有すると、実効レバレッジは500倍ほどになります。
ここまでで分かったことをまとめると、XMは「最大888倍のレバレッジ」とは謳いながらも、実際それほど高い実効レバレッジで運用されることは想定していない、ということになるでしょう。
ハイレバレッジ取引が「ギャンブル」と言われる理由
ちなみに、200万円を本当にレバレッジ888倍で運用したとすると、1ドル円100円の場合、「9pips」の含み損が発生しただけで強制ロスカットされてしまいます。
中には、少ない資金でレバレッジ888倍で取引したいと考えていた方もいるでしょう。しかしここまでの説明でお分かりのとおり、そのような取引は「投資」とは言えません。爆益を得るかほとんどを失うかの2択ですから、「ただのギャンブル」と変わりないことになります。
レバレッジ100倍でも十分資金は増やしていける!
レバレッジ100倍以上の取引では、そもそも安定した運用を行うことはできません。私がXMで推奨するレバレッジも「100倍以下」です。
例えば、先の図の「200倍」欄のロスカットまでのpips数は「40pips」です。XMで強制ロスカットが執行されるのは「証拠金維持率」が20%を切ったときですが、これを実際の取引に当てはめて考えると、20pipsの損切り2回または10pipsの損切りを4回しただけで、取引資金がほぼなくなってしまうことを意味します。
利確と損切りがいつも交互に発生するのなら資金は減らずに済むわけですが、困るのは連敗したときです。「4連敗」は、勝率70%の手法を使っているときにもごく普通に起こり得ます。ということは、レバレッジ200倍の運用では、高い勝率の手法を使ったとしても、継続して利益を得ることは難しい、との結論になるのです。
なお、この同じ手法をレバレッジ100倍以下で運用したとすると、10pipsの損切りを「最大8連敗」まで許容できます。念入りに検証を行った手法でここまで連敗が続くことは稀ですから、100倍以下の運用でも十分、資金を増やしていける、と言えるのです。
さてここで、再び具体例をご紹介しましょう。継続的に勝てる手法を使い、「レバレッジ100倍でも大きな利益を手にすることができる」シミュレーションをしてみました。
このシミュレーションでは、口座資金1万円でスタートして複利で運用を続けると、1年後には口座資金が4,000万円になる計算結果となりました。
やり方としては、「実効レバレッジ100倍での運用」を基本ルールにして、増えた資金を元にロット数を徐々に増やしながら複利でトレードを続けていきます。8か月目にはXM上限の「50lot」に達しますので、そこからはレバレッジが自動的に下がることになりました。
ここからはロット数が固定となるため、利益も固定です。トータル資金は増えていくので、12か月目の実効レバレッジは「13倍」まで下がります。リスクを落としながら安定運用ができるようになっています。
いかがですか?「こんな損益曲線になるためには、一体、月間どれくらいのpipsを稼げなきゃいけないんだ・・・。」と思った方、このシュミレーションに利用した手法は下記のとおりです。
月間取引回数20回、月間+160pipsの利益、勝率60%、損益レシオ2倍の手法です。この手法を1万円の資金、レバレッジ100倍以下の運用をすることで、1年ほどで4000万円に増えます。
実際のところは、複利とはいっても一部は出金もすることになりますから、利益を全て運用することにはなりませんし、シミュレーションどおりにはいかず負ける月も当然出てくるでしょう。実際に資金が増えるスピードは、もっとゆっくりにはなると思います。しかし、決して不可能な数値ではないと想像していただけたのではないでしょうか。
口座残高によるレバレッジ規制が行われると、取引チャンスを逃してしまうような気がするかもしれませんが、このように、そもそもレバレッジ100倍以上の取引をしなくても、大きな利益を手にすることはできます。それには「勝てる手法で、ルールを守って淡々と取引していくこと」だけが必要なのです。
2.各国の重要な選挙やイベント時のレバレッジ規制
2つ目のレバレッジ規制は、「世界各国の選挙や、国の大切なことを決める国民投票など、重要なイベントのときに一時的に行われるもの」。これについて解説したいと思います。
XMからは事前にEメールや公式サイトなどで通知があります。
このレバレッジ規制の特徴は、期間が事前に決まっていて限定的であることと、主にはイベントに関係がある国の通貨ペアや商品のみが規制の対象となることです。そして、大きく相場が動くことが予想されるからこそ行われる規制です。普段はファンダメンタル分析はしないという方も、注視するべき重要情報であること、ぜひ覚えておくことをお勧めします。
過去5年間にあったレバレッジ規制
以下の表は、2019年~2016年にあったXMによる大きなレバレッジ規制です。ちなみに2020年は、直近4月23日に、エネルギー商品のレバレッジ規制がありました。公式サイトの「お知らせ」で確認できます。
https://www.xmtrading.com/jp/important-update-from-xmtrading-30635
2019年以前の表において、注視すべきポイントとしては、「赤字」の部分です。「大統領選挙」がある日は「すべての通貨ペア」のレバレッジが大きく引き下げられています。また株価指数CDF商品、コモディティは「25倍」と国内FX業者並みになりました。
この表から、今後も、各国の総選挙がある日には、レバレッジ規制が行われることが予想できますね。2020年は、11月にアメリカ大統領選挙があります。この日も確実にレバレッジ規制が行われることでしょう。
レバレッジが引き下がると証拠金が変更になる
レバレッジが引き下げられると、どんな影響があるのか?これについては、「取引の際の必要証拠金の金額が変わる」ことが挙げられます。
例を挙げて計算してみましょう。
ドル円1ドル100円のときに1万通貨1ロットのポジションを持つとします。「レバレッジ888倍」のときの必要証拠金は1,126円です。
100(円) × 10,000(通貨)÷ 888(倍)= 1,126(円)
同じ条件で、「レバレッジ50倍」のときには、必要証拠金が20,000円になります。
100(円) × 10,000(通貨)÷ 50(倍)= 20,000(円)
含み損のポジションが強制的にロスカットされる?
レバレッジ規制が行われると、新規ポジション/保有中のポジションにかかわらず、上記のように必要証拠金が上がります。今回、保有中のポジションの必要証拠金の扱いについて、改めてXMサポートに確認したところ、やはり「変更になる」との回答をいただきました。
必要証拠金が多く必要になると、証拠金維持率のバランスも変わります。端的にいえば「余裕がなくなる」のです。レバレッジ規制前に、ハイレバレッジのポジションが含み損を抱えた状態だったとしたら、規制発動直後に強制ロスカットされてしまう可能性があること、もうお分かりですね。
なお、強制ロスカット前には「マージンコール」があるはずですが、XMの場合、お知らせメールなどはなく、MT4の「ターミナル」画面の「取引」タブにピンク色の帯状の表示が出ます。
証拠金維持率が50%を切ったときです。XMサポートによると、これが警告で、これですべてだということです。そのまま何もせずに証拠金維持率が20%に下がると、強制ロスカットになってしまいます。
XMによってレバレッジ規制が必要だと判断されるようなイベントの期間中には、確実に相場が大きく動きます。50%から20%への変動も一瞬かもしれません。
日々ニュースを見ていれば「もうすぐ相場が大きく動きそう」とは予想できると思いますが、もしニュースを見逃していたとしても、XMから事前にイベントの情報やレバレッジ規制の詳細がメールで届きますから、この時点でなら、強制ロスカットに遭わないように対策することができます。常にチェックできる体制を整えておきましょう。
レバレッジ規制の予告の通知が届いたときには、「相場が大きく動く予告」であることも認識し、保有中のポジションの整理を行ったり、決済を検討したりすることを強くお勧めします。これは、安定して利益を得ていくために必要かつ適切な対応であり、トレーダー各自の責任でもあります。
XMからのメール通知
これまで、実際にどのようなメール通知が届いたのか、ひとつご紹介しましょう。
こちらは、2017年10月の日本の衆議院選挙の前に届きました。
・全てのJPY通貨ペア、ゴールド、シルバー レバレッジ100倍
・JP225、JP225CASH レバレッジ50倍
そして、規制が終わった頃、以下の通知が届いています。
2通目のメールは、これが届いたら相場が落ち着き始めるころだ、ということにもなりますね。
3.各種通貨ペアごとによるレバレッジ規制
XMでは、世界各国のありとあらゆる通貨、57種類の通貨ペアの取引が可能です。ただしいわゆる「マイナーな」通貨ペアは、初めから最大レバレッジが低く設定されています。
次の一覧をご覧いただくと分かりますが、このレバレッジ規制は、主には国の情勢が不安定など、通貨の価値が安定していない国の通貨を含む通貨ペアが対象になっています。スイスフランについては、2015年1月に起こった「スイスフランショック」をまだ引きずっているのでしょうか。
いずれにしても、急な相場変動が発生する可能性があることから、XMでは大口ポジションを持つとハイリスクであると判断されて、行われている措置です。
最大レバレッジを確認する方法
自分の口座で現在、最大何倍のレバレッジで取引できるのかは、XM公式サイトの会員ページ「マイアカウントの概要」と、MT4/MT5の「ナビゲーター」画面で確認できます。デモ口座の場合も、MT4/MT5で同様に確認できます。
■XM公式サイトの会員ページ
MT4/MT5の「ナビゲーター」画面
主にチャート上にインディケータなどを表示するときに使う「ナビゲーター」画面の上部には口座情報の記載もあり、ログインIDが記載されている部分をマウスでポイントすると、「1:888」などのレバレッジの倍率の表記を確認できます。
まとめ
XMのレバレッジ規制は、3つの原因で起こります。最後にもう一度整理してみましょう。
1.口座残高の増加による制限
2.各国の重要な選挙やイベント時の制限
3.各種通貨ペアごとによる制限
1は、取引資金が豊富にある方やトレードで利益を得られた方に行われる規制です。しかし、そもそも規制されたことで影響は出るのか?レバレッジ100倍以上で取引する必要があるのかどうかを、今一度考えてみていただきたいと思います。
2の規制は、すべての方に起こるものであり、最も注意が必要です。レバレッジが規制されるということは、それだけ相場は乱高下しリスクが大きくなるということ。含み損のポジションを保有していれば強制ロスカットも起こり得ます。
日々のニュースを見ていれば分かることではありますが、もしニュースを見逃してもXMからの事前通知のEメールを読めば、取引に影響が出ないように対策することができます。チェックできる体制を整えておき、ふいに取引資金を大幅に減らしてしまうことがないようにましょう。
3の規制については、値動きが不安定な通貨であるという明確な理由があります。レバレッジ規制されるほど不安定な値動きのチャートでは、「普段は勝てる手法」も当てはまりづらくなりますし、その観点からも、わざわざこれらのマイナー通貨ペアを選ぶ必要性はないと思います。
XMでは、スタンダード口座で57種類の通貨ペアを取引できます。レバレッジ規制がない中から適切な通貨ペアを見つけて、安全な実効レバレッジでの取引で、安定して勝てるようになっていってください!