FXコラム

サウジアラビアとアメリカの猛烈な関係悪化

2016.10.02 | 
サウジ...
Photo Reuters
市場では8年ぶりの「OPEC」の減産合意の報道が流れ「WTI」の原油先物価格も上昇し、それを好感した株価の上昇なども見受けられますが、実はこの時期に米国で大変な法案であるテロ支援者制裁法が議会を通過してしまい、サウジアラビアと米国の関係が急激に悪化しようとしています。
またそれに伴いサウジアラビアがとるであろう金融市場での反対行動が株、債券、為替市場に大きな影響を与えることになりそうです。

テロ支援者制裁法が成立

米国ではちょうどこの「OPEC」の会合が開かれた時期と並行して、2001年の米国同時多発テロの被害者救済のために外国政府に損害賠償を求めることを可能にする「テロ支援者制裁法」が上下両院で可決されてしまい、サウジアラビアが強い懸念を示し始めているのです。
この法律が施行されれば、米同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディン容疑者をはじめ実行犯の多数がサウジ人だったことから、遺族らがサウジアラビア政府および関連企業を相手取って訴えを起こすことは間違いない状況であり、サウジアラビアもこれに対抗するために一定の反対行動を起こす可能性が急激に高まったいるのです。
オバマ大統領はこれまでこの法律について、米国の企業や軍関係者を巻き込む訴訟につながる恐れがあり、同盟国との関係を悪化させる可能性があると批判し、大統領拒否権を行使してきましたが、今回間隙を縫ってとうとう法制化が実現してしまうという深刻な事態に陥ってしまったのです。
これによりサウジアラビアと米国との関係は急激に悪化することが懸念されており、当然金融市場にも思わぬ影響がでることが危惧されはじめています。
とくにサウジアラビアは「オイルマネー」を米国内で蓄財してきた国のひとつですから、米国からこうした資金が一斉に撤退することは、米国経済にも大きな影響を与えることは必至の状況となりそうです。

サウジは米国内資産を売却か

これまでサウジの石油売買はドルで行われ、その莫大な利益は米国内の有価証券や「国債」をはじめとする債券に投資されてきましたが、今回の法律が成立すれば、差し押さえを回避するためにサウジアラビア政府が急激な国債の売却に出る恐れがあり、その金額規模は日本円にしてほぼ75兆円と巨額なものになることが予想されています。
また長年「ドルペッグ制」を敷いていたサウジリアルも変動相場で大幅に下落することが予想され、為替市場にも大きな影響が出ることは必至の状況となってきているのです。
サウジアラビアが実際にこうした米国内の資産売却に打って出た場合、もっとも影響がでるのは国債市場で、債券売却の影響から金利が大きく跳ね上がるようなことになれば、「FRB」の年内利上げにも影響を与えることは必至です。
また、株式市場での証券の売却が進めば、昨年末から年明けのように米国株式市場がいきなり低迷する可能性も高まってきているというわけです。

原油価格も再度下落の可能性

減産合意で価格が戻りつつある原油市場ですが、サウジアラビアの通貨が変動相場制でドルに対して大きく下落することになれば原油価格に与える影響も大きくなり、サウジとしては価格競争力を高めることとなることから、一転して原油価格下落が再燃する可能性も高まりつつあるのです。
つまり足元で市場が好感している状況とまったく逆さまの事態が進行中であり、10月の禁輸市場ではほとんど意識されてこなかったリスクがいきなり顕在化することになりそうです。
現在のところ、この問題はあまり大事として認識されていませんが、具体的にサウジアラビアの資産売却行動が始まった段階でかなり大きな問題になりそうで、「ドイツ銀行」のリスク以上の為替相場では気にすべきものになりつつあります。
10月が始まったと思ったとたんに予期していなかったリスクがつぎつぎと表面化しつつありますが、「オイルマネー」の動向は予断を許さないものがあり、この秋予想以上に市場にインパクトを与える材料になるかも知れません。
(この記事を書いた人:今市太郎

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  • 今市太郎

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